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コンピュータを騙す

by 唐草 [2023/06/02]



 ぼくは仕事で何台ものサーバの面倒を見ている。なんだか、すごいことをしているように聞こえるかもしれない。
 だが、実際のところぼくがやっているのは、すごいことでも専門的なことでもない。Windowsで言うならば、タスクマネージャーを眺めているだけ。ぼくにとって幸いなのは、サーバのタスクマネージャー的なものがCUIであること。黒背景に小さな白い文字が並ぶ画面がいくつも並んでいると、傍からはすごいことをしているように見られるようだ。
 ありがとう。その先入観がぼくの明日の糧だ。
 時にトラブルが起きることもある。先日もハードディスクの使用率が100%になって厄介なことが起きてしまった。この時やったのは、いらないファイルを消しただけ。Windowsで言うなら、ゴミ箱を空にしただけ。想定以上にファイルが増えるという根本的な原因の解決はしていない。きっと来年も同じようにディスクが足りなくなるだろう。
 別のときはCMSが動かなくなった。その原因はキャッシュファイルで入出力エラーが起きて、古いキャッシュが消せなくなっていることだった。消せないファイルはどうやっても消せないので、消せないファイルが入ったフォルダの名前を変えてプログラムからアクセスできないようにした。入出力エラーという死刑宣告並みに深刻なエラーが出る原因には目もくれていない。
 どの対応も場当たり的なもの。あくまでプログラムからエラーが見えないようにしているだけ。ぼくはこういう対処療法的な対応のことを「コンピュータを騙す」とか「エラーを誤魔化す」と呼んでいる。
 本質的な問題解決を一切していないのに、騙しや誤魔化しでどうにかなるのは相手がコンピューターだから。コンピューターは複雑な作りをしているが、バカ正直にプログラムという形で与えられた自分の仕事に邁進しているだけ。指示されたこと以外は、何も見てはいない。都合の悪いことは、そっとプログラムの視界の外に隠せば良い。
 これが、すごいことをしているフリをするぼくの正体。何もかもがまやかしだ。いつかツケが回ってくるかもしれない。