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アライグマの恐怖

by 唐草 [2022/12/03]



 近所で立て続けにアライグマが目撃されている。数日前に通りの向こうの柿の木に登っていたという目撃談もある。噂を総合すると人気が少なくちょっと広い行政施設を中心に近所一体を歩き回っているようだ。ハクビシン騒ぎに続く害獣問題の浮上である。
 アライグマがカワイイと持て囃されたのは昔の話。今では都市に生息する害獣として忌み嫌われている。アメリカではTrash Panda(ゴミパンダ)という蔑称が定着しているそうだ。国が違えどアライグマの振る舞いに大きな違いはない。日本でもゴミを漁って迷惑を振りまいている。
 ゴミを漁るだけなら野良猫だって問題だ。しかし、アライグマだけが敵視されているのには理由がある。丸っこい見た目や、ものを洗うカワイイ仕草に反して、とても気性が荒い動物らしい。人に牙を向くことを厭わないとも言われている。この性格のせいで各地でトラブルを引き起こしている。アライグマのアライは「洗」ではなく「荒」に改めるべきだろう。
 もちろんアライグマだけが悪いわけではない。そもそも日本にアライグマが持ち込まれたのは1970年代にヒットしたアニメが原因だ。また、都市で生息数を増やしているのも人間の暮らしに隙があったから。
 だからといって、過去を贖罪するかのように奴らの傍若無人さを受け入れるつもりはない。近所を我が物顔でうろつき生活を脅かすのであれば、徹底抗戦も辞さない。
 とは言え、住宅街で積極的にできることはほとんどない。アライグマとはいえ闇雲に処分すれば鳥獣保護法に引っかかる。武器を振り回すことも、罠を仕掛けることもできない。できることは、せいぜいゴミ出しを徹底するのと庭木の果実を早めに回収し尽くす程度の消極的な対処だけ。ゴミ出しは、ほぼ完璧といっていいぐらい。なので、もう打つ手なしというのが正直なところ。
 今のぼくにできるのは、ただアライグマが静かに去るのを祈ることぐらい。
 昨日の夕方、屋根の上でカチカチと固い足音がした。いつものようにカラスが歩いているのだろうと思って気にしなかったが、アライグマの可能性もゼロではない。