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気がつけば同姓同名

by 唐草 [2022/12/02]



 管理しているWebサイトの1つが、来年度の刷新に向けて動いている。それに合わせて水面下でさまざまな作業が進んでいることを利用者は誰も知らない。
 そのサイトは2013年ぐらいに設計された古いもの。スマートフォン対応が不十分で利用者から不満の声が上がっていたし、管理システムがあってないようなものなので運営側からも苦言を呈されていた。
 4年ぐらい前にぼくが管理の一端を担うようになって以来、ぼくがノリと勢いで書いた様々なパッチを当ててその場しのぎの修正を重ねてきた。スマホ対応も果たしたし、タブレットからの利用もできるようになった。サーバにコマンドでログインしなくても更新できるようにもなった。通知も最新ニュースも自動で表示されるようになった。
 これだけパッチを当てても設計思想の古い骨格を完全に矯正することはできなかった。貧相な体にいくらテーピングを施しても、若返ることもなければ、筋骨隆々になることもない。Webサイトも人間も一緒なのだ。
 今はWebサイトの骨格の入れ替え作業の真っ只中。その過程でぼくの作ったパッチを正式な機能として本体に融合することになった。それは、絆創膏や包帯を体の一部として吸収するような奇妙なものでもある。
 その融合作業の最中に大問題が発覚した。
 ぼくが開発したのはあくまで不具合を隠すパッチでしかなかった。それらは症状に合わせて1つづつ処方されるものであって、同時に存在することを一切考慮していなかった。
 「だって、同じ場所に2枚も絆創膏を貼るなんて考えないじゃん!」
 というぼくの言葉が、浅はかでその場しのぎの設計思想をよく示している。パッチで提供していた機能の重複が起きて、本体への機能融合が破綻してしまった。
 破綻の状況を分かりやすく説明するのであれば「名前が重なってしまった」というのがいいだろう。異なる機能に同じ名前がついており、2つを区別できなくなってしまった。それは名前だけでは同姓同名の人を区別できないのと同じ凡ミス。
 ぼくの貧困なボキャブラリーが、すべての原因。
 パッチと言えども名前空間をちゃんと設定しておくべきだった。