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役に立たない学生証

by 唐草 [2022/08/03]



 昨日、大学時代の試験の思い出話をしたのには訳がある。前期定期試験の試験監督業務を依頼されたからだ。実際の業務の前に自分の記憶を思い出してみようとしたものの、何も思い出せなかったというわけだ。
 つまり、ぼくは自分が経験したことのない(と思われる)業務を監督しなくてはならないのだ。どう考えても不適格なのだが、大卒を謳っているくせに試験経験のない人間がいるなんて誰も思わないだろう。仕事を振られるのも仕方ない。下手に抗議をすれば経歴詐称を疑われかねない。
 秒単位でスケジュールが定まっているセンター試験の監督をしたことがある。それに比べれば、定期試験の試験監督なんて気楽なものだ。
 試験の時間がやってきた。教室は、コロナだと言うのに学生で溢れている。1席分の間隔を開けて着席させているが、感染症予防としては不十分に思える。ぼくが学生だったら「こんな環境で試験を受けさせるのは大学の怠慢だ!」と騒いでいそう。
 ぼくのように自分の小さな利益のために集団を巻き込む面倒な学生はいなかった。そんな彼らを飼い犬のように大人しいと攻める気はない。ぼくよりよっぽど処世術に長けているだけだ。
 どんな試験であっても試験監督最大の業務は本人確認。机に置かれた学生証と本人が一致しているかを目視で確認していく。センター試験や大学の一般入試でも経験してきた本人確認なのだが、今回の確認は今までになく難しかった。
 学生証に貼付されている顔写真と本人の顔が違いすぎるからだ。
 ICカード式の学生証に貼られた顔写真は入学前に撮影した写真だろう。つまり、ギリギリ高校卒業前に撮影した写真ということになる。
 高校生の時と大学生の時の顔はぜんぜん違う。それは身体的な成長のことを意味しているんではない。単純に見た目の話だ。特に女子の変化がすごい。化粧の凄さを実感した。輪郭すら違うレベルで完全に別人。学生証の写真は何の役にも立たない。化粧だけであんなに変われるんだったら、写真をいじることに抵抗がないのも頷ける。
 それに比べてオタクな雰囲気の男子はありがたい。全然変わってない。