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夏の体温測定

by 唐草 [2022/08/01]



 職場の入り口に非接触型の体温計が設置された。ひょっとこの口のような形のセンサーの前に手首をかざすと一瞬で体温を測ってくれる。これがなかなか優秀。
 店舗などに設置されている非接触体温計は顔をかざすタイプが主流だった。これらは背の低い人でも使えるように少し低い位置に設置されている。見栄を張って「身長170cm」といってもバレそうなぼくですら低いと感じるので、180cm以上ある大柄の人はしゃがむような姿勢にならないと測れなかったことだろう。また、顔での測定だと帽子やメガネ、そして髪型に影響されることが多い。
 でも、手首で測定すれば身長にも装いにも左右されにくい。誰もが楽に測定できる。きっと測定に参加する人の数も増えているだろう。ぼくなんて面白がって、出入りの度に測っている。
 便利になったとは言え、しょせん非接触型の体温計だ。測定結果の精度に疑問が残る。どのぐらいの差が生じるのか気になったので、非接触型で測定した後に脇に挟むタイプの体温計で図りなおすという実験を試みた。
 まだ3回しか試していないが、非接触型での平均値が36.0℃なのに対して脇で挟んだ平均値は36.6℃となった。誤差は1.7%なのだが、0.1℃の差ですら無視できない体温測定で0.6℃も低く出るのは大問題だ。もし、ぼくの体温が38.0℃の危険領域にあったとしても、ギリギリ許容される37.4℃と出てしまう可能性があるということだ。
 なぜ、低い温度が表示されるのだろう?
 その答は、自分の手首を触ってみればすぐに分かる。脇と違って手首は、ひんやりと冷たい。これは汗による気化熱が作り出した冷たさ。割と汗かきなぼくは、夏場は腹も手首も額も冷たい。特に屋外から冷房の効いた涼しい屋内に入ると一気に汗が気化して、体の表面温度が自分でも分かるぐらいぐっと下がる。
 そんな状態で測れば低く出るのも当然だ。
 では、どうやって体温を測れば正確な値を得られるだろうか?
 汗が引いて呼吸が整うまで5分待ってから測定するというのが良さそうだけれども、これでは一瞬で測れる非接触型体温計を導入した意味がないな。