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鉄の逆襲

by 唐草 [2022/06/03]



 あまり熱心に料理しないぼくだけれども、1つだけこだわりがある。それは、目玉焼きを焼くときは絶対に鉄のフライパンを使うこと。こうすると白身の端が軽く焦げてカリカリになる。軽い食感が目玉焼きにメリハリを与え舌を喜ばせる。
 テフロンのフライパンで焼くと、なぜかこうならない。焦げない代わりに、白身の端は表面張力で丸くなる水滴のようになるだけ。これでは白身のどこを食べても均一で単調だ。
 こんなこだわりがあるとは言え、普段遣いのフライパンはテフロン加工のもの。チャーハンや餃子といった強い火力を活かす中華からフレンチトーストといったスイーツに近いものまで何でもテフロンフライパンにおまかせだ。雑に料理しても焦げ付かないので料理がうまくなった気分になれるし、洗剤で気兼ねなく洗えるのも楽でいい。美味しく作れることも重要だが、それと同じぐらいに楽しく作れることも重要だ。
 そんな訳で我家の鉄製フライパンは、ぼくが妙にこだわる目玉焼きとホットケーキを焼くためだけに存在しているようなものだった。
 先日夕飯の準備をしていたときのこと。段取りが悪かったのか、献立が無計画だったのかは分からないが、ポークソテーを焼こうというのにフライパンが空いていないという状況に陥ってしまった。テフロンフライパンでの炒めものが終わってから、肉を焼き始めたら先に完成した料理が冷めてしまう。
 それがイヤだったし、できるだけ早く夕食にしたいと空っぽの胃が訴えてきたので、鉄のフライパンを代打として投入することにした。
 油を敷いて肉を焼くことになるので、いつもより油っぽくなってしまうかもしれない。そんなことを考えながら強火で肉を焼いていた。
 フライパン二刀流のおかげで手早く夕飯は完成した。そして、肉を食べて驚いた。いつもより全然美味しい。肉の表面がカリッと焼き上がっているだけでなく、香ばしく仕上がっていた。
 テフロンフライパンは便利だけど、味を求めたらやっぱり鉄のフライパンがいいようだ。これからは、洗い物の手間よりも味を優先して料理をしようかな。