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塗料の強さ

by 唐草 [2022/05/09]



 GWの工作は、数年ぶりのことだった。モデリングペーストで形を作って、筆で色を塗る。プラモで培った技量を久々に発揮できたし、工程のひとつひとつが懐かしかった。
 懐かしさは、久々に手を動かしたからだけではない。数年ぶりに筆や塗料といった愛用の道具に触れたことも大きい。
 今回の作業では、プラスチックのような樹脂に着彩をした。そんなとき活躍するのが、プラモ用塗料。押入れの奥からタミヤカラーを引っ張り出してきた。
 ぼくのプラモ歴は戦車などのミリタリーから始まり、軍事つながりで戦闘機へ移行。その後、レーシングカーへと移っていった。いかにも男子的という感じのメカ大好きな変遷を辿っている。
 そのせいで持っている塗料は地味なものばかり。オリーブドラブを中心とした迷彩色のグラデーション。明灰白色やスカイグレーといった軍用機カラー。そして、エンジンや駆動部と言った機械の内側を彩る光沢の異なる各種黒やメタリックなガンメタル系の黒。そんな色ばかりなので、塗料箱は軍事基地のような重い雰囲気で満ちている。色鉛筆の箱を開けたときのようなキラキラしたときめきなんて微塵もない。
 今回使ったのはタミヤカラーX-2の光沢ホワイト。数少ない明るい色だ。
 塗料の蓋を開けるまで一抹の不安があった。塗料を使うのが15年ぶりぐらいだったので、ちゃんと使えるか自信が持てなかったのだ。塗料の粘性が高いのでビンを振っても液体が動く感じはしない。開けてみるまで状態は分からない。
 力を込めて小さな丸いビンの蓋をゆっくり回す。ビンの口で固まった塗料がメリメリと剥がれる音がする。イヤな感じだ。
 ぼくの予想と裏腹にホワイトは、なんの問題もなかった。15年以上放置していても変質しないタミヤカラーの強さを見せつけられた瞬間だった。
 ところが、すべての色が無事だったわけではない。蓋の締め方が悪かったせいかビンの中でカチカチに固まってしまった色もあったし、塗料がビンの口で固まって蓋が開けられないものもあった。
 そんな硬い蓋を力いっぱい開けようとしたら、指の皮が剥けてしまった。別の意味でもタミヤカラーは強すぎる。