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楽しい工作の時間

by 唐草 [2022/05/04]



 何年かぶりにアクリル絵の具を混ぜた。最近はデジタルでしかものを作らなくなっているが、やっぱり絵筆を手にものを作るほうがずっと楽しい。
 ただ、絵を描いているわけではない。ぼくが相対しているのは、キャンバスや画用紙ではなく立体物。修復と呼ぶべき作業に取り掛かっていた。
 修復のきっかけは、オミクロン株に怯えず開催された昨日の小さな飲み会に遡る。
 参加者のひとりが、いつものフィギュアを持ってきていた。2頭身の獣人みたいなもの。これはぼくらの飲み会のマスコットで、料理の写真を取るときに一緒に映すのがお約束。
 昨日はテーブルが狭かったこともあり、フィギュアが床に落ちてしまった。その結果、フィギュアの猫耳はもげるし髪の毛は欠けてしまった。猫耳は回収できたので接着剤でくっつけられるが、髪の欠けた部分は行方不明になってしまった。
 長年の相棒の悲惨な姿に持ち主だけでなく皆意気消沈。そこで、参加者の中でもっとも工作が得意なぼくが修理を申し出た。
 フィギュアといってもシリコン型成形で着彩はワークショップのハンドメイドなので、造形も塗りも単純。欠けた部分はモデリングペーストで補えばいいし、塗りは市販のプラモデル用塗料で十分。 
 耳と髪は簡単に修復できた。そこは塗料そのままの色なので着彩も簡単だった。しかし、すべての色が市販の色ではない。体の色は、ちょっとベージュがかった薄黄色という微妙な色。対応する色が思いつかない。これは混色で作った色に違いない。
 微妙な淡黄色の再現に午後を費やしてしまった。白に黄色を混ぜただけでは明る過ぎで、ベージュを加えると赤みが足りないように見える。隠し味的にオレンジを加えるも色が濃くなりすぎる。そんなことをひたすらに繰り返していた。
 ショックだったのは、絵の具を混ぜた色の予想が下手になっていたこと。PCでの加法混色に慣れているので、色を混ぜれば混ぜるほど暗くなる減法混色を正しく想像できなくなっていた。そのせいで混ぜるたびに想像よりくすんだ色になっていた。
 でも、そんな四苦八苦が本当に楽しい。今日は充実した休日だったと胸を張って言える。