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過ぎたるは及ばざるが如し

by 唐草 [2021/12/25]



 職場で使っていたトラックボールを買い替えた話を以前書いた。不調だった古いトラックボールは接点復活剤をスプレーしたら元気を取り戻し、自宅で活躍していた。こんな簡単に直るんだったら買い替えは失敗だったかもしれないなんて考えていた。
 接点復活剤は電子機器の強い味方がだ、根本的な問題を解決しているわけではないということを忘れていた。直ったように見えても、それはテーピングだらけのスポーツ選手のようなもの。故障を隠して一時的な処置で延命しているだけに過ぎないのだ。
 完全復活したかのように見えた初代トラックボールは、再び左クリックの調子が悪くなってきた。10年以上使ったのだからもう潮時なのだろう。潔く故障を認めるのが適切な判断なのだろう。でも、ケチなぼくはそうは考えない。もう一度接点復活剤をスプレーすればさらなる延命を図れるに違いないと考えるのである。ぼくは血反吐を吐いて力尽きてその場に倒れるまで酷使する。包帯でグルグル巻きだろうとお構いなしだし、致死量スレスレの投薬にも躊躇しない。
 だから今回は、多めに接点復活剤を投入することにした。
 トラックボールのボタンとボタンの狭い隙間にスプレーの細いノズルをねじ込んで大胆にスプレーした。その様子は貪欲に血を貪る蚊のよう。
 この大胆な行動は、ぼくの期待と正反対の結果をもたらすことになった。
 まったくボタンが効かなくなってしまったのだ。効かなくなったというのは正確ではない。正確を期すのであれば「クリックが入りっぱなしになった」と書くべきだ。
 PCに繋がなくても問題が起きているのがすぐに分かる。本来はクリックするとカチカチを音が鳴る。ところが、カチカチという硬い音の代わりにブチュブチュという感じの濡れた布を踏むような音がするようになってしまった。明らかにおかしい。
 慌ててトラックボールを分解したところ音の発生源は、基板にハンダ付けされた小さなスイッチからだった。接点復活剤がスイッチ内部に溜まってしまい、常に電気を流し続けているようだ。接点復活剤のかけすぎ。過ぎたるは及ばざるが如しとは、まさにこのこと。