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ヤとアの話

by 唐草 [2021/12/01]



 「ギリシア文字」について調べようとして「ギリシャ文字」と検索したのが昨日のこと。正しくは「ギリシア文字」だが、ぼくと同じ勘違いをしている人が多くいるようで「ギリシャ文字」というタイトルの記事もたくさん表示されていた。
 この間違いを犯してしまうのも無理はない。地中海に位置するアテネを首都とする国家の日本語表記は「ギリシャ共和国」。それは外務省でもギリシャ大使館でも同じ。国名を日本語で書くなら「ギリシャ」が正しい。だからギリシャで使われている文字なので「ギリシャ文字」と思うのは自然なこと。
 ところが、ギリシャ共和国の公用語は「ギリシア語」で、使われる文字は「ギリシア文字」となる。あぁ、ややこしい。
 ここでギリシャの歴史を紐解いてみよう。紀元前に栄えていた時代は「ギリシア時代」だし、そこで花開いた文化は「ギリシア文化」。建築様式も哲学も神話もみんな「ギリシア」表記だ。一様にカタカナ表記が「ギリシア」なところを鑑みると、むしろ国名の「ギリシャ」が間違っているように感じられる。
 Wikipediaにある「ギリシャ共和国」の日本語表記に関する項目には色々書かれている。元になったポルトガル語を聞くと「グレイシア」という感じなので「ギリシア」の方が近いように思えるが、日本語の語感としては言いにくい。実際に声に出すと「ギリシャ」の方が言いやすいし、早口で「シア」と言うと「シャ」に聞こえる。早口言葉のように「ギリシア」を連呼していると「ギリシャ」に落ち着いた理由が納得できる。
 日本語は子音も母音も少ない言語。だから外国語を正確にコピーすることができない。どうしても他の音で代替することになる。ギリシアはその犠牲になった言葉のひとつなのだろう。
 ちなみにぼくは「タイヤ」と「ワイヤー」の表記と発音に自信が持てない。「タイア」と「ワイアー」のような気がしてしまう。実際に書いてみるとどちらが正しいか分かるけれど、口に出すだけではどちらが正しいか判断できない。たぶん会話の中では「タイア交換」とか「ワイアーフレーム」と発音していると思う。