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選挙の娯楽性

by 唐草 [2021/10/31]



 選挙という選出方法は、国政や自治体の長の選出に限らず、一般企業の代表から小学校の学級委員長の選出に至るまで多くの場面で利用されている。一人一票のシステムが広く受け入れられている理由は、シンプルなルール故に公平さを担保しやすいという点が大きいだろう。
 でも、公平さだけで選挙が受け入れられている訳ではないと考えている。
 「誰が当選して、誰が落選するのか?」という結果へのドキドキ感やワクワク感がエンターテイメントとして楽しめることも、選挙システムが受け入れられている理由の1つなのではないだろうか。アメリカ大統領選挙(とその予備選)の盛り上がりを見ていると、公平性よりもエンターテイメント性が目立っている。
 米大統領選の盛り上がりには遠く及ばないが、都知事選は日本の選挙の中ではエンターテイメント性が高い。有力候補は(比較的)接戦になるし、道化役のような泡沫候補のブービー争いも見ていて楽しい。良くも悪くも注目を集めていることは間違いない。
 翻って今回の衆議院選挙は盛り上がっているだろうか?選挙法の改正とコロナの影響で選挙活動の主戦場が街頭からメディアへ移行したせいもあり、これまでの選挙のような名前を連呼するだけのどぶ板選挙活動は減っている。とは言え、騒がしくなくなったのは新しい選挙活動が浸透したせいだけとも思えない。
 選挙公報を眺めていると、素人でも投票前に結果の予想がつく小選挙区が多くあるように思える。与党も野党も最小限の候補に絞っている感じがする。これが各党の選挙協力の結果なのだろう。
 おかげで無駄な争いは減った。街も静かになった。少数派の票の分散を防ぐことで、主流派以外の意見を国政に届けやすくなったかもしれない。
 でも、各党が結果をコントロールしやすい作戦を取った合理性のせいで、選挙が本来持っているエンターテイメント性が著しく損なわれているように思えてならない。小選挙区に関しては、以前よりも投票に行っても行かなくても結果は変わらないという印象を強く受けている。
 攻略方法が確立されたゲームの周回プレーをやらされているような感じ。