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長い1分

by 唐草 [2021/10/20]



 UNIX系のOSには、cronという定期実行機能がある。指定した日時に指定したコマンドを実行するだけの単純な機能だ。だが、侮ることなかれ。その単純さは理解しやすいだけでなく、様々なことに利用できる柔軟さの源となっている。
 普段コンピュータを使っていても、1分単位の定期実行機能が必要になる場面は少ない。せいぜいメールチェックぐらい。多くの機能を実行し続けているサーバだと話は別。バックアップを取ったり、同期をしたり、最新情報を取得したり、自己診断をしたりと大忙し。このサーバのcronにも、いくつものコマンドが設定されている。
 職場のサーバには、ここの何倍ものコマンドが設定されている。そして、それぞれが適切なタイミングで実行され、システム全体が自動的に機能するようになっている。言うなれば、何人ものぼくが24時間365日フル稼働しているようなものだ。残念ながらこの凄さを理解してくれる人が職場にいないので、そろそろ仕事を辞めようと考えている。ただ、悲しことに現時点で完璧と言える自動化なので、ぼくがいなくなっても健全に動き続けることだろう。ぼくが辞めた後に「やっぱ、あいつはいなくて良かったんだ」と思われるのは、技術者的には賛辞だと分かっていてもやはり悔しい。
 それでも、更なる自動化を追い求めてしまうのはエンジニアの性。今日も面倒な作業を自動化する準備を進めていた。何事も慎重にことを進めるぼくは、まずはテスト環境で自動化の準備をする。テスト環境なら何が起きても平気なので、とにかく最高速で動くように設定して動作を繰り返し確認する。
 だから、cronは最短の1分間隔にセット。1日に1440回も実行されると書くとその頻度がよく分かるだろう。
 でも、開発現場にいると試行される1分を待っているのが苦痛。たかが1分かもしれないが、結果を一刻も早く知りたいときの1分は長い。それが1日に何回もある。今日はミスもあったし、あまり詳しくない技術を使ったこともあって更新に次ぐ更新だった。そのせいで、不本意な1分待機を何十回も繰り返すハメになった。
 長く辛い1分の繰り返しだった。