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流行りのアイメイク

by 唐草 [2021/10/18]



 どんな顔が憧れの対象になるかは、時代や文化によってぜんぜん違う。ぼくら現代人が、平安時代から鎌倉時代ぐらいまで美しいとされてきた引目鉤鼻の絵を見ても憧れは抱かない。江戸時代の美人画を見ても、価値観の隔たりを感じてしまう。はっきり言って、どちらの絵も奇異なものにしか映らない。
 では、逆に現在の憧れの対象はどうだろうか?
 街に奇抜な装いの人はいるが、ギョッとするような人を見ることはまずない。多様性が叫ばれている時代でも、突出した人は少ない。
 ところが、ネットに目を移すと奇異を通り越して、気持ち悪い顔が溢れている。アプリによる加工が、現実ではありえない顔を生み出している。
 目が大きくて顎の細い小顔を良しとする美意識は根強い人気がある。そんな顔を持つ人は少ないし、そう言う顔の人がテレビなどで活躍しているのを目にしている。だから、憧れを持つのも頷ける。
 ある程度はメイクで実現できるかもしれないが、限度がある。でも、デジタル加工なら可能性は無限大。冴えないオタクの代表みたいな顔のぼくだって、美少女に返信できる時代だ。目を大きくしたり、顎を細くするなんのは朝飯前。ただ、限度を知らないとモンスターを生み出すことになる。100年後にこれらの写真を見た未来人はどう思うことだろう。
 先日、生放送番組に出ていいた女性アナウンサーの顔が、まさに今流行の目が飛び出しそうで顎の尖った加工顔だった。生放送だし、リアルタイム加工をするような番組でもない。ということは、メイクだけで加工顔を実現しいているということ。つまり、そのアナウンサーは本当に目が大きくて小顔なのだろう。きっと美人と呼んで差し支えないバランスの良い顔に違いない。
 でも目の大きさを強調するメイクが、元から大きな目を更に大きく見せており、リアルな動画なのに加工顔にしか見えない。加工顔メイクタレントと同じ気持ち悪さがある。流行りのせいで、本来持っている価値を完全に損ねている。もう、ホラーの域だ。
 今にも目が飛び出してきそうな気持ち悪さに絶えられなくて、ぼくはチャンネルを変えた。