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奇跡のバランス

by 唐草 [2021/10/16]



 『Skyrim』の2周目をクリアした。明確な終わりのないゲームなので、遊び続けようと思えばもうしばらくは遊んでいられる。とは言え、残された要素が繰り返しクエストと全スキルマスターへのレベル上げだけとなれば遊び尽くしたと言って良いだろう。
 2周目を遊んで確信したことがある。発売から10年経っても未だに多くの人を惹きつけてやまないこのゲームは、奇跡と呼ぶにふさわしい絶妙なバランスを有した無二のゲームだ。
 「奇跡」なんていう大仰な言葉を使ったのには訳がある。手放しでゲーム制作者を褒めているのではない。もちろんバックボーンのしっかりした世界観は物語に奥行きを与えているし、どんなエリアでも何かしらの冒険が用意されていてゲームに飽きる時間はない。作り込みのおかげでスカスカな箱庭という印象はないし、好きな順番に物語を進めることもできる。
 とは言え、シナリオや戦闘などの要素はどれも70点ぐらい。それなりに優秀だが、歴史に名を刻むような傑作ではない。それどころかゲームが複雑化した弊害で至るところにバグが潜んでいる。進行不能も起きるし、期待通りに効果を発揮しないアイテムや利用場面の無いスキルも多い。NPCも不安定で、挟まって身動きが取れなくなっていたり、会うたびにチグハグなことを言ったりする。
 ところが、そんなバグが『Skyrim』を唯一無双の存在にしている。
 いくつかのスキルが説明と異なる形で効果の重複を起こす。それをうまく使うと必殺技のようなパワーを発揮して戦闘に彩りと戦略性を添えている。また、急坂をジャンプで楽々登れてしまう雑な登坂処理(通称:ノルド式登山術)が予想外の進行を可能にして多様なルートでの攻略を実現している。
 このようにバグが、それもゲームエンジンに起因する深刻で修正不能なバグが、ゲームの可能性を広げている。これが奇跡の正体。もし、これらのバグがなかったら『Skyrim』は単調なゲームで終わっていたはず。
 バグという予想不能なスパイスが、ゲームを奇跡的なバランスへ仕上げている。この奇跡のバランスを狙って超えることは簡単ではないだろう。