カレンダー

2019/06
      
      

広告

Twitter

記事検索

ランダムボタン

脱メールへの茨の道

by 唐草 [2021/09/07]



 先日、連絡手段をメールからチャットベースのツールに切り替えようと決心したと書いた。あれから1週間ぐらいしか経過していないが、ぼくの思い描いた理想へと向かう道は既に暗礁に乗り上げている。
 チャットアプリを使うのは、今回が初めてではない。20年ぐらい前にMSNメッセンジャーを使ったのが初体験。当時主流だったWebベースの公開チャットとは違って、アカウントを交換した者同士だけが会話できるということが新鮮だった昔の話だ。リアルの友人と話たり、ゲームで知り合った人々との交流に使いまくっていた。言うなれば今のLINEのような感じで、プライベートな交友に活用していた。
 一方で仕事などのパブリックな場面で活用するという発想は、まったくなかった。目の前に便利なツールが転がっていたというのに「仕事は礼儀正しくメールで」という先入観を覆すことはできず、コミュニケーションの変化は訪れなかった。
 その後もチャットベースの会話ツールは、LINEのようにプライベートなやり取りをするものという日陰者の扱いが続いていく。こうして日本は、メール偏重のガラパゴスになっていった。FAXが未だに生き残っていることからも、いかに変化を嫌う国民性が根強いかがよく分かる。
 それでもLINE普及のおかげで考え方もだいぶ変わってきた。初めはバイトの連絡ぐらいだったかもしれないが、今では業務連絡に使うとことも増えてきたと聞く。また、Zoomなどの通話ツールにチャット機能がついていたことも後押しになったのかもしれない。手紙のような堅苦しい挨拶を抜きにして、もっと気軽に、そして迅速に情報交換をしようといいう機運は十分に熟した。
 流れに乗ってぼくもメールに別れを告げるつもりだった。
 ところが、チャットツールの急速な拡大が思わぬ弊害をもたらしている。相手によって使うツールがマチマチで、連絡を一本化できないでいる。LINEもいるし、TeamsやSlask使いもいる。相手にツールの移行を迫るわけにもいかないので、ぼくが相手に合わせていくつものソフトを導入している。きっと相手も同じような状況だろう。
 メールからの脱却は実現できたが、送信先が多様化するという新たな問題に直面している。始めにプロトコルが規定されて発展を遂げた電子メールの互換性の高さに今更ながら感心している。