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by 唐草 [2021/08/13]



 お盆休みという名の強制有給消化期間に突入したというのに、ぼくは机に向かって仕事をしていた。リモートワークになって仕事から逃れられなくなったわけではない。以前から夏休みは、教員にとって忙しい季節の1つであり続けている。
 ぼくを机に縛り付けていたのは採点だ。山積みになった前期の提出物と格闘していたのである。
 授業では毎週学生に課題を出している。提出がなければ、不マジメな学習態度を口うるさく攻め立てている。そんなぼくだが、提出があった週にすべての課題に目を通しているわけではない。一字一句逃さず熟読するレポートもあるが、文量だけをチェックして終わるレポートもある。さらには提出の有無の確認だけで済ませているものも少なくない。教室で課題に対してもっとも不マジメなの教員だと言っていいだろう。
 こういう状況になってしまうのには理由がある。いくつもの業務や授業、研究を抱えているのでレポートを読む時間を確保するのが難しいからだ。と言うと聞こえがいいかもしれない。これも嘘ではないが、建前でしか無い。本当は「成績登録締切日までに読めばいいや」と面倒なことを先送りしているだけだ。
 締切日が近づいてきたのでいよいよ重い腰を上げて採点に取り掛かり始めた。だから、ぼくは夏休みなのに机に張り付いていたのだ。毎週少しずつ採点していれば、こんなことにはならかなったはず。休みが台無しになっているのは、身から出た錆と言っていいだろう。
 だが、休みのすべてを採点に捧げるつもりはない。実のところ休み初日にすべての採点を片付けた。かなり大変な仕事であったが、休み中に採点のことを思い出して気が重くなるのを避けるために一気に片付けたのである。えらいぞ、自分。
 ぼくは小学生の頃から夏休み開始直後の数日間に宿題を片付けてきた。それは宿題に思い煩わされて思いっきり夏休みを楽しめないのがイヤだったからだ。この考え方はオッサンになった今でもぼくを支配し続けている。長期休暇を楽しむというモチベーションは、ぼくの最大のやる気スイッチ。