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魔法の信号

by 唐草 [2021/08/09]



 昨晩、暑い夏には致命的なピンチが我が家を襲った。クーラーが動かなくなってしまったのだ。台風が運んでくる熱い風が吹き荒れる晩にクーラーなしで寝るのは、自殺行為。問題が起きたのは家族の寝室。朝までは冷たい風を送り出していたのに、今やリモコンを押しても無反応。
 まずリモコンの電池を交換した。変わらず時刻を表示するだけで、ボタンを押してもリモコンもエアコンも無反応のまま。以前に別のエアコンのリモコンが壊れたことがあった。その経験からエアコン本体にある応急運転ボタンを思いだす。ぼくは小さな脚立の上に乗ってエアコンのカバーの奥に隠された小さなスイッチを押した。それでもエアコンは動かなかった。
 万事休す。
 このエアコンは98年製なので壊れてもやむなしとも言える。お盆前の一番暑い時期の買い替えとなると取付工事が終わるのは9月近くになるかもしれない。それはクーラーなしで夏を乗り切るサバイバル生活の幕開けを意味している。それだけは絶対に避けたい。今できるすべてを試してみよう。
 リモコンのどのボタンを押しても小さな液晶の表示は変わらない。スマホカメラで赤外線LEDを見ても光っていない。リモコンの故障が疑われる症状だ。一方で応急運転ボタンが効かないことを考えると本体の故障も考えられる。だが、リモコンと本体が同時に壊れるというのは偶然にしては不自然ではないだろうか?
 エアコンの電源を10分ぐらい抜いてから、再度応急運転ボタンを押した。すると眠りから覚めたようにエアコンが動き出した。本体の故障ではなかったようだ。最悪の事態は免れたとは言え、毎晩脚立に乗って操作するのは受け入れがたい。この勢いでリモコンも直せないだろうか?
 ぼくは躊躇なくリモコンを分解し始めた。分解が致命傷になるかもしれないが、分解しなくては壊れているか分からない。シュレディンガーの猫的な感じでネジを回していく。バラして分かったが、バラす必要はなかった。何のことはない電池の接点が腐食していただけだった。コンタクトスプレーを吹きかけ磨いたらリモコンは蘇った。
 結論から言えば、なんの故障もなかった。でも、どうして応急運転を受け付けなかったんだろう?腐食のせいで電圧の狂ったリモコンが、意味不明な信号を発して本体を混乱に陥れてしまったのだろうか?