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ラズパイの夏

by 唐草 [2021/07/14]



 2020年7月末に3代目カラクサラボサーバが突然停止した。メインのハードディスクが壊れて、起動すらできなくなっていた。バックアップのおかげでデータの大半は無事だったとは言え、かなりの痛手だった。それでも昨年のぼくは、このトラブルを好機と捉えて次の一手を繰り出した。
 それが、ラズパイサーバの運用開始である。
 実のところ昨年夏の時点では、ラズパイへの切り替えは時期尚早だと考えていた。設定が完成していなかったし、ハードウェア関連のトラブルも抱えていたからだ。正直なところ何が起きてもおかしくはない試験運用的な見切り発車だった。
 ところが、ぼくのネガティブな予想に反して状況は最良のシナリオに沿って進んでくれた。今日までトラブルフリー。もう少しで運用1周年を迎えようとしている(フラグ)。
 サーバがラズパイに変わったことで、ぼくの夏の生活は大きく変わった。
 ラズパイ本体はファンレスなので無音だし、ハードディスクも2.5インチのノートPC用を繋いでいるので音はほとんど気にならない。だから、今は冷房完備の自室にサーバを設置している。これにより、ぼくは夏の風物詩でもあったサーバ室の温度管理から開放された。
 自宅にサーバを設置するようになって20年近くになるが、毎年夏は暑さとの戦いだった。いかにサーバの温度を低く保つかに苦心し続けた。特にサーバ室のクーラーが壊れてからは、知恵を絞る毎日が続いていた。温度計を何本もセットして冷気の流れを測定して、エアコンのない部屋にどうやって冷たい空気を流し込むかを考え続けていた。ここの過去ログを「扇風機」で検索すれば、ぼくの戦いの痕跡を見つけることができるだろう。
 しかし、暑さをめぐる戦いも過去のものとなった。今は、ラズパイの上にただ置いてあるだけのヒートシンクが倒れていないかを確認するだけの平穏な毎日となっている。この生活のほうがずっと楽なのは間違いない。でも、なんだか物足りなさを感じてもいる。
 サーバを冷やすために夏の間中繰り返してきた悪戦苦闘は、ぼくにとって夏休みの自由研究のような存在だったのかもしれない。