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履歴は語る

by 唐草 [2021/06/26]



 先日、どこかの大学のオンライン授業でエロ動画が配信されるという痛ましい事故が起きた。大きく取り上げられたので、呆れたり憤りを感じたりした方も多いだろう。ぼくも呆れてものが言えなかった。だが、オンライン授業を配信する人間として襟を正さねばとも感じたことを告白しておこう。
 オンライン授業で学生に課題を取り組ませているときに手持ち無沙汰を感じることがある。そんな時、ぼくはゲーム攻略サイトのコメント欄を眺めていることが多い。エロ動画を見ているよりはずっとマシだと確信しているが、教員の振る舞いとしては五十歩百歩なのも否めない。
 件の講師とぼくの違いは、誤配信防止を徹底している点だろう。授業用PCでいかなる時も暇つぶしをすることは絶対にない。攻略サイトを覗くのはタブレットだけ。しかも、PCとタブレットは異なるアカウントが設定されている。ハードが異なれば誤配信のリスクはほぼゼロだし、同期によって閲覧ページがバレる心配もない。それでもタブレットから出た音をPCのマイクが拾うおそれがあるので、授業中は猫動画であっても開かない。
 今回はもろにエロ動画が配信されるという惨劇が起きた。言い逃れのできない致命的な過ちだ。だが、これに類する事故を見たことがある。
 あれはコロナ前に教授の研究室で小規模な勉強会をしていたときのこと。55インチの大きなテレビに教授のPC画面が映されていた。ほんの一瞬だったが、ぼくは見逃さなかった。ブックマークにエロワードが並んでいたことを!反射的にツッコミを入れそうになったがぐっと我慢。他の参加者も同じ気持ちだったかもしれない。
 もう1件、似た出来事がある。先日、オンラインで事務方の人々とシステムの確認をしていた。先方が検索フォームに文字を打ち込もうとした瞬間、検索履歴がズラッと列挙された。一番上は「乃木坂」だった。「いま画面共有しているそのPCは仕事用ですよね?」と聞きたかったが、やはりぐっと我慢した。
 PCを公私混同して使っていると本来は便利なはずの機能からサボりの証拠が顔を覗かせる。"f"と打つと"fallout"がサジェストされるぼくが言うんだから間違いない。