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鉛筆の使い方

by 唐草 [2021/06/03]



 家にあるボールペンを使い尽くして以来、ぼくの筆記用具は鉛筆になったと先日書いた。ぼくが手書きで記すのは、用が済めば捨ててしまうメモばかり。長らくボールペンにこだわってきたが、書く中身を考えれば鉛筆でも何の不自由もなかった。
 それどころかインクにムラが出る安いボールペンより鉛筆のほうがずっと書き心地が良い。引っかかることなくスラスラとペンが進む。鉛筆は、ぼくにとっては筆記用具ではなく画材だった。文字を書くために鉛筆を握ったのなんて、小学生以来かもしれない。こんなにも書き心地が良いのなら、もっと前から鉛筆を使うべきだった。
 鉛筆のことをべた褒めしながら、その書き心地に酔いしれていた。だが鉛筆とぼくの蜜月は、メモ用紙3枚目で早くも終わりを迎えることになった。
 ガリッとイヤな感触が手に走った。
 芯が減って、木の部分が紙にぶつかってしまった。
 その感触を味わうまで、鉛筆は削りながら使わなければならないという常識を失念していた。これがブランクか。そして古いことを色々思い出した。
 書いているうちに線が太くなることや削るのが面倒だったのでシャープペンに乗り換えたんだ。シャープペンの芯が折れるのに嫌気が差してボールペンへと移った。安定して文字を書き続けたいと願って筆記用具を変えてきた過去があった。
 そんなことを思い出しながらぼくは鉛筆削りを探して家を引っ掻き回していた。今は亡き祖母に小学校入閣時に買ってもらった赤い鉛筆削り。今でも赤を選んだぼくのことを怪訝そうに見た祖母のことはよく覚えている。断っておくが、良い思い出話ではない。幼心にムカついたんだ。赤い鉛筆削りカッコイイじゃん。
 何年かぶりに鉛筆削りに鉛筆をセットしてハンドルを回した。イメージよりずっと少ない回数でハンドルの抵抗はなくなった。鉛筆ってこんなに簡単に削れるものだったっけ?もはや記憶すら曖昧だ。
 ここのログによるとこの鉛筆削りを使うのは、実に10年ぶりらしい。そうか、そんなに久しぶりなのか。こんなことでも記録しておくと心を揺さぶる時が来るようだ。