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サンタにお願い

by 唐草 [2020/12/21]



 寒い朝に自室で仕事に取り掛かる前に必ずすることがある。血の巡りを良くするためのストレッチでもなければ、集中力を高めるヨガ由来の呼吸でもない。寝癖頭のままデスクにつくぼくには、その手の意識高めの行動は無縁。
 デスク脇の本棚に置いてある団扇を手に取り、部屋中の空気をかき混ぜるのが朝一番のタスクだ。ぼくの仕事部屋は、何度も書いているように部屋の中央に置かれた本棚のせいでエアコンの空気が部屋の隅々まで行き渡らない。特にデスクの下には冷たい空気が溜まる。扇風機で空気をかき回すのもいいけれど、手仕事の細かさにはかなわない。
 だから、ぼくは今日も季節外れの団扇をブンブンと勢いよく振り回している。天井付近の温かい空気を下ろして、床に溜まった冷たい空気を押し上げるイメージで団扇を一心不乱に振る。何も知らない人が、空虚な場所をあおぐぼくの姿を見たら謎の儀式をしている危ない人にしか見えないだろう。
 手を伸ばして団扇を振っていると、狭い6畳間の中にも温かい空気と冷たい空気が分かれていることを感じられる。特に冷たい空気が動くとよく分かる。ヒヤッとした見えない塊が、足元を動いている感じがする。
 1分ぐらい団扇を振り回すと部屋の温度は、むらなく暖かくなる。部屋全体の温度が下がるのでエアコンも動き出す。ちょっとした工夫が、冬の朝に快適さをもたらしてくれる。ぼくにとっては、扇風機も団扇も一年中活躍する道具である。
 見えない空気の温度を肌で感じて空気をかき混ぜ、感覚的に部屋の温度の変化を捉えている。自分の感覚が間違っているとは思ってはいないが、どれぐらいの効果が出ているのかを客観的に知りたくもある。部屋のいたるところに温度計を置けば数値で変化を知ることもできるだろう。でも、それは面倒だ。もっと一発でバシッと状況を把握したい。
 となると、サーモグラフィーカメラを買うしか無いのだろうか?
 でも、団扇を振り回した効果を知るための買い物にしては高すぎる気もする。サンタさんが枕元に置いてくれないだろうか?サーモグラフィーをプレゼントするサンタはイヤすぎるか。