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盛者必衰?

by 唐草 [2019/09/21]



 1年ぶり?2年ぶり?正確な期間は分からないが、とにかく久々に中野のマグロマートに行った。今までに3回か4回、お店に行ったことがある。いつ行っても、誰と行ってもマグロをこれでもかと言うほど堪能できた。部位の豊富さをとっても、料理の豊富さをとってもマグロの奥深さを理解することができる良いお店だった。今回も誰が参加するのかも確認せずに二つ返事で誘いに乗った。
 久々に訪れるマグロマートは移転していた。これまであった中野ブロードウェイの更に奥という僻地から脱却して、少しだけ駅に近くなっていた。古い商店をリノベーションしていただけの荒削り感のあった前の店舗から比べると、外観もおしゃれな感じになっていたし、なにより2階建てで広くなっていた。まさに栄転と呼ぶべき移転。マグロだけでどれだけ儲けたのかがよく分かる。
 何度目かの来店なので注文も手慣れてきている。骨に残った身をスプーンで削いで食べる中落ちと希少部位の盛り合わせなんかの定番を押さえつつ、火を通したマグロも注文した。特に今回は8人という大所帯で来店したことが大きなアドバンテージとなった。テーブルに運ばれてきたマグロの骨は、頭を落としているのにも関わらず1mぐらいの大きさがあった。頭と尾びれがついていたらかなりの大物である。有名なポーズを決める某寿司店店長の前に置かれていても恥ずかしくないサイズだっただろう。
 一通り運ばれてきたものを食べた。でも、残念ながらそこに驚きも喜びもなかった。
 初めてではないというのは、感動を減衰させる大きな要因だ。でも、それだけじゃない。スプーンを使って骨から中落ちを削ぐのが面倒にすら感じた。新たな食べ方として赤みのトリュフ添が出てきたが、トリュフの味しかしなかった。何かとウニがでしゃばっているメニューも増えていた。レモンサワーもアルコールに弱いぼくがアルコールを感じないほどに薄かった。そして、店を出るときは自分の手の生臭さが鼻についた。
 ハッキリ言おう。がっかりした。美味しくなかった。これが5,000円以上支払ったぼくの心にポッカリと空いた穴に残っていた言葉であった。絶対に次はない。
 正直、自分でも驚きである。今まで大満足してきたお店でお気に入りのメニューを食べたのに、正反対の感想しか残らなかったのだ。歳を重ねると好みは変わる。揚げ物が食べられなくなるのと同じように、ぼくの感じ方が変わってしまったのだろうか?違うと思う。盛者必衰の理を垣間見た気がする。