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灰色のネットワーク機器

by 唐草 [2018/07/17]



 先日、PS4のインターネット接続を有線LANに変更した話を書いた。結論から言えば、顕著な差は現れなかった。それどころか、部屋に置いたスイッチングハブが100Mbpsにしか対応していない古いモデルだったので、仕事用Macの通信速度が1/10になってしまった。踏んだり蹴ったりな結果であった。電源確保のために絡まったケーブルと格闘したのは一体何だったのだろう?
 再び無線LANに戻してもよかったのだけれども、もう一度ケーブル群と格闘するのが嫌だったのでそのままになっていた。
 いっそ1Gbps対応のスイッチングハブを買おう。金で解決しよう。そこまで考えていた。
 ぼくの記憶が確かならば、我が家に1Gbps対応のスイッチングハブがあったはずなんだけどなぁ。前に契約していた会社が解散になったときに破棄扱いになっていたハブをこっそりと貰った(主観的状況説明)記憶があったんだけどなぁ。でも、それが今使っている100Mbpsのモデルだったのかなぁ?
 我が家にはルーターやハブ、無線LANのアクセスポイントなど様々なネットワーク機器が転がっているが、その大半が譲り受けたジャンク品なので素性が分からないものが多い。1Gbps対応モデルを持っているというのが、ぼくの勘違いだった可能性は高い。
 いつもの日課のようにサーバ室の温度を確認したときのことだった。ネットワーク機器を設置しているシャンプーラックが目に留まった。ほぼ毎日、目の片隅には入っているがしっかりと確認したことは少ない。気がつけば大量のホコリが積もっていた。白いネットワーク機器も黒いネットワーク機器も等しくグレーになっていた。ホコリを叩こうと手を伸ばしたときだった。1本のLANケーブルもつながっていない、それどころか電源すら入っていない灰色の機器がシャンプーラックの最上段に置かれていることに気がついた。
 知恵の輪のように設置されているシャンプーラックマウントから機器を取り出すのは容易いことではない。知恵を絞るか、力を振り絞るかのどちらかが必要になる。ぼくは、ケーブルが繋がっていないのをいいことに力を振り絞ることを選んだ。
 金属が擦れる鈍い嫌な音とともにホコリだらけでまるでフェルト製のカバーを掛けられたような機器が姿を表した。その正体は、本当に灰色の機器だった。これこそが、ぼくが探し求めていた1Gbps対応のスイッチングハブだった。やっぱりあったか、ぼくの記憶は正しかった。すぐに使えるようにとラックに置いていたので見つからなかったのか。灯台下暗しだったな。
 見つけたスイッチングハブを早速設置した。8ポートなので多くの機器を接続できる。ということで、自室にある有線接続可能なすべてのPCを有線に変更した。Mac miniもAtomのLinux機もみんな有線に回帰することとなった。
 その結果、手に入れたものは2つ。1つは、ローカルネットワーク内だけだが1Gbpsの高速通信。もう一つは、さらなるケーブルの絡み合い。ぼくの部屋のケーブル群は、更に太くたくましく、それは古代樹の枝先のように成長したのであった。