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100円の贅沢

by 唐草 [2020/08/20]



 朝食はパン中心の生活が基本だが、例外がある。それが暑い夏の朝。例年7月後半から8月末までの間だけぼくの朝食はグラノーラが基本になる。暑い朝には温かいものでなく冷たいものが食べたい。また牛乳をかけるだけで食べられる手軽さも暑くてやる気の起きない夏の朝向きである。それだけならコーンフレークでも良いのだが、コンーフレークよりグラノーラの方が食べた気がするという理由が最後の決め手となっている。
 この理由からも分かる通り、健康への意識でグラノーラを選択しているわけではない。だから毎朝食べているというのにグラノーラの中身が何なのかよく分かっていない。ごちゃまぜのものをスプーンで掬ってワシャワシャと食べているので、すべての中身を把握していたとしてもそれぞれの素材に意識を傾けることはできないだろう。フルーツグラノーラを購入しているので干しブドウが入っていることはさすがに分かる。あとのサクサクしたものの判別は単体で食べても難しそうなので諦めている。
 主成分はオーツ麦だと書かれているが、オーツ麦には馴染みがある。オーツ麦は和名でえん麦と言う。えん麦は猫草としても売られている。我が家にも猫草を育てるために麦の種子がある。猫草の種のパッケージを読むと確かに「えん麦」と書かれている。つまり、考えようによってはぼくは猫と同じものを食べていると言える。逆に言えばグラノーラを人間用カリカリ餌と呼んでも差し支えないのかもしれない。
 近所のスーパーには2種類のフルーツグラノーラが売られている。1つはプライベートブランドの安いもの。もう1つはカルビーの『フルグラ』だ。フルグラのほうが800gの大袋で100円高い。けっこうなお値段差である。
 どちらもカリカリになったよく分からない穀物とゴミのようなドライフルーツのかけらが入っているだけ。大きな違いは無いように見えるのだが、食べてみると結構違う。高いフルグラのほうがフルーツが多いし、なにより穀物の口当たりががサクサクと軽い。
 この差に100円の価値があるのかは分からない。それでも買えるときは迷わずフルグラを買ってしまう。これがぼくの夏のささやかな贅沢である。