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エンタープライズ版

by 唐草 [2019/05/16]



 カラクサラボサーバで動いているソフトウェアは、すべてオープンソースソフトウェアである。つまりプログラムの中身が開示されており、どんなコードが動いているのか確認できたものだけが実行されている。コミュニティーの監視により安全性が担保されたソフトウェアなのである。
 なんてオープンソースの能書きを垂れてみたが、ぼくにとって重要なのはそこじゃない。一番重要なのはソフトウェアが無料で利用できるということだ。中身をすべて確認できるなんてことは、ぼくにとってほとんど意味がない。ぼくの能力では、OSの核の部分のソースコードを読んだところで英語の古典を読むのと同じである。ようするに文字は分かるが意味はわからないという状態だ。
 このサイトは20世紀末の個人サイトの雰囲気を色濃く残す生きた化石のようなサイトである。でも、裏で動いているソフトウェアは最新の安定版が導入されている。ソフトウェア構成だけを見れば、最新のサービスを提供する同時接続1万人級のサイトと同じである。もっともハードのスペックが最小限なので数百人の同時接続が限界だけど。
 今のぼくは、このサイトの構築で得たソフトウェア選定やチューニングなどのノウハウを活かして仕事をしている。だからぼくがセットアップしたサーバは、外向きのものであれ内向きのものであれすべてこのサーバのクローンのような状態になっている。
 大小様々なサーバをセットアップしていても、すべてオープンソースの無料ソフトウェアで賄う事ができていた。だから常々不思議に感じていることがあった。オープンソースをベースに開発された有償のエンタープライズ版ソフトウェアを導入する機会なんてあるのだろうか?と。
 OSであればRed Hat Linux。ぼくはクローンのCentOSで事足りている。同じようにMySQLやDockerのエンタープライズ版を買う必要なんて感じたことはなかった。やりたいことは全部無償のコミュニティー版でできていた。だから、エンタープライズ版はソフトウェアを買うのではなく、サポートを買うものなのだろうと考えていた。
 だが、ついにエンタープライズ版の意義を理解するに至った。確かに公式サポートが強力という側面もあるが、それだけではなかった。エンタープライズ版には障害に備えた機能、いわゆる高可用性を実現するためのオプションが盛り込まれていたのだ。いくらぼくがコンピュータオタクだからと言っても、自宅のデータベースを10Gbpsのケーブルで結んだ5台のコンピュータで冗長化しようなんて考えない。だから気が付かなかっただけだ。
 RAID環境が壊れて、電源から火が出ようともダウンしない環境を作ろうと思ったら選択肢はエンタープライズ版しか無いのである。
 逆に考えるとコミュニティー版なんて体験版でしかないのだ。初めからぼく程度のコンピュータオタクなんて相手にされていなかっただけだったのである。しょせん、このサイトなんて海の見えぬ井戸でしか無い。