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何時間でも眠れそう

by 唐草 [2019/12/28]



 ぼくは、世間より一足早く木曜日から年末の休みに突入していた。と言っても、楽しいお正月休みという雰囲気は全然ない。それは世間のお正月らしさが希薄なのとは無縁だ。すべて腰を痛めたせいである。ぼくの毎日は、ベッドで腰の回復を待つ安静の日々となっている。
 一日中ベッドでゴロゴロしながらゲームをしているという生活は、そう悪いものではない。でも、ゴロゴロしたくてゴロゴロしているのと、ゴロゴロせざるを得なくてゴロゴロしているのは、雲泥の差がある。それは、気が向いたときに食べるカップラーメンは美味しく感じるが、毎食カップラーメンしか食べられなかったらウンザリしてしまうのと同じ。大切なのは、結果ではなく選択の有無なのである。
 1日の合計歩数が2桁で収まるであろう小規模な生活は、肉体的な疲労とは無縁である。こういう生活をしていると体力が消費されないので、夜に眠れなくなってしまうことが多い。その結果、睡眠サイクルが乱れてぼく本来の夜型生活が復帰してしまう。長期休暇に陥りがちな罠である。
 でも、どういう訳かこの休みに突入して以来、過激な夜更し生活には陥っていない。普段寝る時と同じぐらいの午前1時ぐらいには、眠くて眠くて仕方がない。そして、一度寝てしまうと起きなくていいという安心感からか9時間以上寝てしまう。
 目覚めは空腹が運んでくる。脳が、もっと寝ていたいからエネルギーを摂取しろと命じてくるような目覚めなのである。それは、トイレに行きたくて目が覚めてしまう時のように睡眠がぶつ切りにされる目覚めである。そのせいか、起きている間もずっと眠いまま。コーヒー程度では、手も足も出ない眠さである。
 家どころか、部屋からもろくに出ない生活を送っているのになんでこんなにも眠いのだろう?
 睡眠時間は普段と比べて長くなっている。それなのに眠いということは、睡眠の質が著しく低下してしまっている可能性が濃厚である。と、ここまでは簡単に推理ができる。でも、何が睡眠の質を下げているのかサッパリ見当がつかない。これではぼくは、犯人を特定できない無能な探偵でしかない。
 普段との違いが原因だとすると、やっぱり腰なのだろうか?うまく寝返りできていなかったりするのだろうか?寝ている間のことなので、自分のことなのになにも分からない。