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弱点はヒジ

by 唐草 [2019/08/26]



 夏と冬、体に大きなダメージを与えるのはどちらの季節だろう?数年前までは、圧倒的に冬の方が危険なイメージがあった。寒さで凍死したり、雪崩や雪下ろし中の事故などの雪害に巻き込まれて命を落とすなど冬には多くの危険が潜んでいる。なにより裸で屋外に放り出されたら確実な死が待っている。
 それに比べると夏は、まだ命に優しいと考えていた。少なくとも裸一貫で屋外に放り出されても日陰にたどり着ければ、生きながらえるチャンスはあるように思えていた。そんな甘い考えはすでに過去のものである。日陰程度では40℃に迫ろうとする熱波から逃れることなどできない。生きて夏を乗り切るためには日光と熱波に対する隙きの無い完全防御が必要だ。ちょっとだけ吸血鬼の気持ちが理解できそうだ。
 ぼくも外出する際には最大限の防御策を講じている。帽子は必須アイテムだし、何度も書いているように保冷剤を持ち歩いている。服は通気性の良い麻素材を選んでいる。しかし、この程度の対策では、夏に立ち向かうにはまだまだ準備不足である。挙げた要素はあくまで熱中症対策でしか無い。夏に怖いのは熱中症だけではない。空から容赦なく降り注ぐ紫外線からも体を守る必要がある。
 ぼくは肌が弱い。夏の日差しを浴びても健康的な小麦色の日焼けなどできない。肌が生煮えの甲殻類のように赤くなるだけなのだ。症状としては火傷に近い。だから熱中症対策と同じぐらい紫外線対策が欠かせないのである。美肌を意識する女子と同じようなことを言っているが、ぼくにとって紫外線対策は死活問題と言っても過言ではないほど重要なのだ。
 紫外線対策でもっとも活躍するのは、当然のことながら日焼け止めだ。日焼け止めさえきちんと塗れば、ぼくだって夏らしい半袖の装いを楽しめる。だから昼間に出かける際は、肌の露出している腕と顔に日焼け止めを念入りに塗り込んでいく。その姿は美容を考える優美な姿からは程遠く、あたかも調理する肉に調味料を塗りつけているような無骨さに溢れている。このおかげでぼくの青白い不健康そうな肌が守られているのである。
 昨日、ふと気がついたことがある。入念に日焼け止めを塗り込んでいたつもりだったのだが、両腕ともヒジだけが日に焼けて肌の色が濃くなっていた。どうやらぼくの癖で、ヒジだけには十分な日焼け止めが塗れていなかったようである。パンダの耳のようにヒジだけが黒いというなんとも間抜けな焼け方になってしまっている。