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スマホが壊れた

by 唐草 [2019/09/10]



 今朝、通勤電車の中でIT開発者の風上にも置けない言葉を口走ってしまった。
 「スマホが壊れた」
 手のひらの中で起きる予想外の出来事に唖然としていたので、声に出してしまったかもしれない。でも、ぼくが握りしめているスマホ画面は割れていない。落としたり水に濡れたわけでもない。電源が入って通信できている。ハードにはなんの異常もない。それなのに、ぼくは「スマホが壊れた」と強く考えていたのだ。
 ことの発端は駅でスマホの電源を入れたところに遡る。電源を入れて1分もしない内に異常な状態に気がついた。スマホの入ったズボンのポケットが、ジワジワと熱くなってきたのだ。
 ぼくの安スマホは、ちょっとした作業でもすぐに熱を持つ。とは言え、手に温もりを感じる程度。今のスマホはジリジリと肌を焼くように熱い。慌ててスマホをポケットから取り出すと使い捨てカイロのように熱くなっていた。
 スマホの端をつまんで熱を逃がそうとしたが、冷める気配はなかった。なんのアプリも動いていないのに、スマホは自分が暖房機器であると主張するかのように熱を発し続けていた。40℃を超えるような熱を出し続けているのでバッテリーの消耗も激しい。カウントダウンをしているようにバッテリー残量が減っていった。起動時には100%だったのに20分後には35%まで減っていた。
 それを見て思わず呟いてしまったんだ。「スマホが壊れた」と。
 ただ手をこまねいてスマホの暴走を見つめていたわけではない。Wi-FiやGPS、音声入力がOFFになっていることを確認した。勝手に通信していそうな使っていないアプリを削除したりもした。あらゆる手を尽くしたのに熱を発し続けていた。これはソフトウェアの破損としか思えなかった。
 バッテリー残量が30%を切ろうとしたとき、1つの通知が表示された。
 「バックアップアカウントが設定されていません」と書かれていた。
 まさかとの思いでバックアップ設定をOFFにしたら、まるで解熱剤を飲んだインフルエンザ患者のように熱が引いた。電話機としてしか使っていなかったのでバックアップアカウントを設定していなかったことが、今回の発熱の原因だったようだ。
 確かに今回の因果はバックアップだったのだが、それなら起動のたびに毎回熱くなっていたはず。なんで、今回だけ熱くなったんだ。やっぱり、壊れてるんじゃないか?