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10倍

by 唐草 [2019/08/30]



 ものには何事でも限度がある。同じ値段なら多い方が嬉しい。でも、コンビニでペットボトルのお茶を買うときに2lボトルしかなかったら困ってしまう。TPOに合わせて適切なサイズが必要なのだろう。
 ここのところネットで「鶴瓶茶」と呼ばれている伊藤園の麦茶が評判だ。日本獣で価格が変わらないのに内容量が減っている実質値上げが横行する中、時代の流れに逆らってドンドン容量が増えている。不景気の日本に残された最後の良心とうべき英断である。伊藤園の麦茶の影響で、お茶類の容量だけは増えていっている。いつの間にか600mlが業界標準になっていた。しかし、伊藤園は一歩先にいる。ぼくの記憶が正しければ、今は670mlだったはずだ。
 このまま増量してくれたら嬉しいが、それでも先に述べたように増え過ぎたら不便になって選ばなくなるラインが存在する。それが800mlなのか1000mlなのかは分からない。ある種のチキンレースのようなものだ。
 お茶の容量とは少し異なるが、ぼくの許容上限を超えた商品を見つけてしまった。
 以前に成城石井の山椒3倍麻婆豆腐が素晴らしいという話を書いた。舌がしびれるという前代未聞の体験ができるお惣菜である。「美味しいか」と聞かれたら「面白い」と答えるだろう。食品にあるまじき回答である。
 麻婆豆腐の成功(?)に味をしめたのか、成城石井が同じような発想で新商品を作っていた。それがショウガ10倍ジンジャーエールである。成城石井のジンジャーエールは、ぼくのようなショウガ大好き人間を満足させる本当にショウガの入ったドリンクだ。ジンジャーエールの代表みたいな顔をしている「カナダドライ」のような偽物とは違う。刺激の強さだけでごまかしているウィルキンソンの辛口とも違う。ショウガ汁をサイダーで割った漢方薬のような本物だ。
 ただでさえショウガが強いと言うのに、それを10倍の濃度にするなんて正気の沙汰ではない。そんなにショウガが入っていたらショウガ汁を炭酸で割ったのではなく、ショウガに炭酸をかけたという感じである。ショウガがきついジンジャーエールが好きなぼくでさえ、10倍に手を出す度胸はなかったし、何より味に期待ができなかった。これなら直接ショウガを齧った方がマシだろう。
 3倍麻婆豆腐は買ったが、10倍ジンジャーエールは避けた。きっと3倍ジンジャーだったら買っていただろう。たぶん5倍でも買っていたと思う。そして、7倍ぐらいから躊躇しはじめていただろう。どうやらぼくの許容範囲は通常の6倍ぐらいまでなようだ。