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力任せの勝利

by 唐草 [2021/02/23]



 先日、ドライバー片手にテレビのリモコンの分解修理にチャレンジするも失敗に終わった話を書いた。ネジを4本外してもリモコンのカバーは外れず、カバーの隙間にマイナスドライバーを突っ込んでテコの原理を活用してもびくともしなかった。結局、修理どころか基板を見ることすらできなかった。ネジを外して戻しただけでしかない。
 リモコンの不調は電源ボタンの反応が悪いだけ。使えないわけではない。力任せに分解を試みてリモコンを破壊して使えなくしてしまうよりも、「この電源ボタンは誤操作防止のために長押しなんだ」と考えを改めて現状に甘んじることを心に決めた。スマホ時代の今、長押し操作は特別なことではない。
 それから数日が経ったが、テレビのオンオフに苦戦しなくなったような気がする。今まではテレビをつけようと電源ボタンを押しても不発に終わり、テレビは沈黙したままということばかりだった。でも、ここ数日は違和感もストレスもなくテレビをつけられている。
 長押しを心に決めたことで失敗が減ったのか?それとも、現状を受け入れることで心に余裕が生まれたのか?
 そのどちらでもないようだ。明らかにボタンの反応が良くなっている。軽く押すだけでオンもオフもできる。当たり前のことが当たり前にできる普通のリモコンに戻った。
 分解に失敗したのに状況が改善したのはなんでだろう?考えれば考えるほど不思議だ。分解して調子が悪くなるよりも理解に苦しむ。
 分解前、ぼくはボタン裏の導電体の摩耗を予想していた。もし、これが正解だったらなんの手当もせずに復調することはありえない。他に考えられる要因は、ボタンの位置ズレや端子にゴミが挟まったことぐらい。
 分解しようと躍起になって牡蠣から身を取り出すときのようにリモコンの隙間にドライバーを突っ込んでいるうちに、ズレが直ったりゴミが取れたりしたのだろうか?1mmぐらいしか動かなかったが、あの力任せの試行錯誤も無駄ではなかったのかもしれない。
 努力の実り方としては釈然としないままだが、求めていた結果に至ったのだから良しとしておこう。