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他人をスキャンする

by 唐草 [2021/03/02]



 Windows xpの頃まではウイルス対策ソフトが欠かせなかった。ウイルス対策ソフトを入れないとあっという間にいくつものウイルスに感染してしまうと言われていた。今の技術からすればお粗末なウイルスだったが、それでも猛威を振るっていて時折テレビニュースにも取り上げられていた。そんな報道を見ては、「SFっぽいな」と他人事のような感想を抱いていた。
 ぼくが冷めた感想を抱いていたのも無理はない。PCを使いこなしているという自負があったので自衛できていると確信していたからだ。幸運にもウイルスに感染しなかったことが、根拠なき自信を更に後押ししてしまった。
 そういう体験が根底にあるので、ウイルス対策ソフトの必要性に懐疑的だった。ソフトに守ってもらうのではなく、自衛に徹するべきだという考えを深めていった。今となって思えば、これは強者気取りの放漫な考えだったかもしれない。
 それでも無料のウイルス対策ソフトとOS標準機能だけで自分のPCを守り続けてきた。怪しげなチートツールがウイルス判定されたりもしているが、データが消えたり流出したということもなければ、不正アクセスの踏み台にされたり、スパムメール発信源にされたこともない。
 だから、この先もOS標準機能以上の対策を講じるつもりはない。そんなぼくが、今日はウイルス対策ソフト導入にてんやわんやしていた。
 自衛できているという傲りにも似た考えを捨てたわけではない。そうではなくて、他人を一切信用できないからこそウイルス対策ソフト導入を決意したのだ。
 職場で使っている大型NASには、8000人ぐらいのユーザが好き勝手にデータをアップロードしている。個人用のストレージとして使うだけでなく、データ共有することもある。全員が職場から配布されるウイルス対策ソフトを導入しているので汚染されたデータがアップロードされることは無いはずなのだが、ぼくは自分以外を信じていない。ITに疎いユーザが汚染されたデータをアップしてしまうかもしれない。見知らぬ誰かよりは、ソフトほうがずっと信頼できる。
 と言う訳で、ウイルス対策ソフトを導入した。ただいま40万ファイルのフルスキャン中。終わる気がしない。