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1個でも3個でもなく、2個

by 唐草 [2020/10/06]



 先週、半年ぶりに出勤して驚いたことがある。職場の食堂の営業が取りやめになっていた。リモートワーク推奨の結果、職場は昼間でも夜間のように人気がなく閑散としている。ぼくだって週1出勤だ。この状態では食堂の営業は難しいだろう。せっかく料理を作っても多くが廃棄になってしまいかねない。おしゃれとは無縁だが、胃袋も財布も大満足なボリューム満点ランチにもう会えないと思うと寂しい。
 先週のぼくは昼食難民になってしまい、自販機でカロリーメイトを買ってどうにか飢えをしのぐしか道はなかった。カロリーメイトがいくら栄養バランスが整っていたとしても、カレーを食べようとウキウキしていたぼくの心を満たすことはできない。
 この反省を踏まえ今週は準備をした。
 いつも朝食用におにぎりを2個買っている。今日は朝の分の2個だけでなく、お昼用にもう1個おにぎりを買った。朝からお昼の準備をしておこうというクレバーな作戦。本当はお弁当を買ったほうがいいのかもしれないが、それは無理な相談。半分しか目覚めていない朝8時のぼくの目には、コンビニのお弁当はあまりにも毒々しく映った。手に取っただけで気分が悪くなりそう。
 お昼の自分を想像するよりも、今の自分のことしか考えていない短絡的な買い物を済ませた。
 職場に着くと朝のルーチンとして2個のおにぎりをペロッと平らげた。デスクにはお昼用に買った焼きおにぎりが1個寂しく残っている。その姿を見ていたら、お腹を満たされていない自分に気がついてしまった。
 長らく朝のおにぎりは2個と決めていた。しかし、2個を説明できる客観的な理由はどこにもない。なんとなく2個を続けてきただけに過ぎない。
 なんだか今朝はお腹が空いているし、3つ目も余裕で食べられそうだ。
 早速、3つ目のおにぎりにかぶりついた。お昼に備えるよりも、今の空腹を解消するほうが重要だ。食べられるときに食べておくのが自然の摂理。
 後先考えず3つのおにぎりを食べたことへの後悔は、お昼よりずっと前、食べて数分後にやってきた。胃が重い。半分しか目覚めていないぼくの胃におにぎり3つは多すぎたようだ。苦しい。
 なんとなく続けていた2個。1個じゃ少ないし、3個じゃ多いということをぼくの体は直感的に理解していたようだ。