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机上の混線

by 唐草 [2019/05/26]



 現実から目を逸らし続けていたことがある。放置して自然に解決する類の問題ではない。いつか否が応にも直視しなくてはならない時が来る。ならば先送りを続けるのではなく、問題が限界を超えていない今こそが立ち向かうべき時なのかもしれない。
 ここ数か月の間、机の上が混然としているというつかみどころのない印象を受けていた。机に向かって何か作業をしようとすると、まず物をどかす動作から始まる。手に持っていたものを置こうとするとスペースが見つからない。そんな小さなストレスを何度も感じていた。でも、作業ができないほど物であふれているわけではない。だから、見て見ぬふりを続けてきたのだ。
 でも、それも今日までだ。戦ってやろうじゃないか、この現実と。
 机の上を見てみると、捨てるべきものが放置されていたり、収納場所に戻されていないものがいくつかあった。机にあるべきでないものを片付けたのだが、混然とした印象は変わらないままだった。
 ぼくは机の上の何にストレスを感じているのだろう?自分でもよく分からなかった。
 猫がPCの存在など気にせず自由に動き回るので、机の上にもツンツンとした2cmぐらいの猫毛が散らばっていた。散らばっている3色の毛が混然とした印象を作り出しているのだろうか?いずれにせよ猫毛はPCに良くないので掃除をしなくてはならない。埃をよく取る布で机の上を拭き始めたときあることに気が付いた。異常なまでに掃除がしにくかったのだ。
 なんで掃除がしにくいんだろう?この視点で机を眺めたら、すべての根源たる理由が理解できた。様々な種類のケーブルが、育ちすぎた鉢植えの根っこのように机の上を埋め尽くしていたのである。どう考えても、机の上で稼働している機器に対してケーブルの量が多すぎる。
 試しに手元の映像ケーブルの一本を手繰ってみたら一方の端子がどこにもつながっていなかった。また、USBケーブルを引っ張てみると目の前の機器に繋いでいるのに延長ケーブルがとぐろを巻いていた。机の大きさと機器の数が噛み合わないので、ケーブルが溢れかえっていたのである。
 なんでこんなことになっていたのだろう?
 そうだ、思い出した。グラボを買い替えたときに配線を変えようとしてありとあらゆる組み合わせを試した。ベストな配線を見つけた後も余分なケーブルの片づけを先送りしていた。いつしか、その光景に慣れてしまったのだろう。まるで工事の風景が日常に溶け込んでしまうかのようである。
 暑さにめげず片づけを敢行した結果、小さな机から約12m分ものケーブルが排除されることとなった。机の上は、ついに平静を取り戻したのであ