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寒さと暗さ

by 唐草 [2019/02/01]



 今日のタイトルは、読むと気が滅入りそうな救いのない小説の題名のようだ。でも、寒さと暗さは今のぼくを悩ませる毎年恒例の大きく、そして切実な問題である。
 以前から書いているように築40年近い我が家の壁の中の断熱材なんてユニクロのウルトラライトダウンにも負ける程度の弱い断熱効果しか無い。だから、寒いこの季節になるとぼくの部屋は吐く息が白くなるほどに冷えてしまう。室温が屋外と大差ないほどに下がってしまう要因はいくつかあるけれど、最大の要因は古いアルミサッシの窓である。古い設計思想のサッシなので断熱という概念がない。あくまで窓枠にガラスを固定するためだけのものに過ぎない。結露する磨ガラスに触ると指の先がピリピリと痛むほどに熱を奪われる。
 こんな状態では暖房をつけても焼け石に水である。発生した熱の大半が窓ガラスから逃げていく。カーテンを閉めても効果は薄い。冬の寒さの前では布一枚なんてあまりにも無力である。もっと断熱層が必要である。窓ガラスに梱包材のプチプチを貼っているが、それでも十分ではない。今は完全に雨戸を閉めることで部屋の外にもう一層の断熱層を作っている。カーテン、プチプチ、窓ガラス、雨戸。この4層でどうにか寒さをしのいでいる。
 雨戸のおかげで人並みに文化的で暖かい暮らしを送れるようになった。でも、別の問題が浮上してしまった。
 部屋が暗すぎるのである。
 ぼくは寝るときに完全に明かりを消すタイプ。だから、ぼくの部屋はあたかも深海のような手探りでないと歩けないほどの濃い闇に包まれる。そんな真っ暗な状況で寝ていると眠りは深いのだが、目覚めがとても悪くなる。十分な時間寝て自然に目覚たはずなのに、目覚まし時計で叩き起こされた睡眠不足の朝のようなだるさに包まれる。
 聞いた話によると、人は寝ていても日が昇り徐々に明るくなっていく状況を感知しているらしい。その明るさの変化で目覚めのプロセスが始まるそうだ。その仕組を利用して快適に目覚められるように徐々に明るくなる目覚まし照明なんて商品もある。
 完全に締め切ったぼくの部屋に目覚めを促す大自然のリズムを感じ取れる隙間なんて1mmも無い。まるで冷蔵庫の中のように人工的な暗さがあるだけだ。だから毎日頭を蹴飛ばされて起こされるような唐突な目覚めで朝を迎えている。
 雨戸を開ければ太陽の明るさが戻ってくるが、寒くて寝てられない。でも寒さを避けるために雨戸を閉めてしまうと暗すぎて目覚めが最悪になる。
 寒さと暗さ。どちらを選ぶべきなのだろう。毎年結論が出せぬまま春を迎えるのである。冬眠したい。