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知識と経験がものを言う

by 唐草 [2020/10/24]



 ここ1ヶ月ぼくを悩ませていた問題があった。「問題があった」と過去形で語っているけれど、残念ながらまだ解決したわけではない。ようやく原因の目星がついたに過ぎない。それでも昨日までの五里霧中な状態とは雲泥の差がある。上下も分からず溺れ続けていたが、ようやく水面に顔を出せたという感じ。
 ぼくを悩ませていたのは、職場に導入された超絶ハイスペックサーバの挙動。ここでも度々話題にしていたサーバである。ある操作をすると異様に処理が遅くなることがあった。1秒未満で終わる処理のはずなのに、運が悪いと60秒ぐらいかかる。5分かかったとか、10分かかったという真偽不詳の情報が寄せられることもあった。不具合報告のオークションかよ。
 このサーバは単体で動くのではなく、3台一組で動作する。アプリケーションサーバ、データベースサーバ、NASの3台だ。ハイスペックサーバは、この3つの中でもっとも負荷の大きいアプリケーションサーバを担当している。
 不具合を確認して以来、長らくアプリケーションサーバで動くプログラムを疑い続けてきた。事実、アプリケーションの機能を制限すれば問題の発生を抑えることができた。でも、制限実施には運用上の問題があり、根本的な原因を早急に見つける必要があった。
 今までに培ってきたコンピューターの知識を総動員して、ありとあらゆる仮説を立てた。そして、果敢にも実行中のサーバ内で検証を重ねてきた。
 徐々に問題を起こすコードの候補が絞り込まれていったが、なかなか根本までたどり着けなかった。それでも、どうもデータベースとの連携に失敗していそうな雰囲気が強かった。これは、過去の知識に基づく判断だ。今までもこういう勘に似た経験則で多くの問題を片付けてきた。その感覚には自負もある。
 でも、今回はそれが仇となった。完全に狙いが外れていた。ハッキリ言って、知識と経験が間違った先入観を作り出していた。初心に返ってログを見直していたのだけれども、先入観が読み方を誤らせていた。
 自分で掘った穴に落ちていることに気が付かず、更に穴を掘り続けていた数週間だった。