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雲の上から釣りをする

by 唐草 [2020/10/22]



 インターネットは、いつからこんなに危険な場所になったのだろう?
 昔は安全だったと過去を美化するつもりはない。20世紀末のインターネットにも危険は潜んでいた。ウイルスだってたくさんあったし、アダルトサイトで真贋に迷うような請求書が表示されることもあった。でも、これらは使う側のスキルが低かったがゆえに引っかかってしまう被害だったし、同時に仕掛けもいたずらの域をちょっとだけ超えた程度のものだった。少しスキルアップすれば簡単に回避できる危険でしかなかった。
 インターネットが広く一般に普及して四半世紀が経過した今、ぼくら一般利用者のスキルも少しは向上したし、機器も安全を考慮したものに進化した。でも、その進化を遥かに上回る勢いで悪意は成長している。十分な知識を持っていても引っかかってしまう巧妙な手口もあれば、機器の弱点を狙い撃ちにした対処不能な手口だってある。
 恐ろしいことに手口は日々進化を続けている。きっと今日生まれた手口もあるだろう。毎日が悪者の誕生日だと思うと悲しくもなる。
 昨日、一通のメールが届いた。Googleドライブからの通知で、あるファイルの共同編集者に設定されたことを告げていた。リモートワークが広がって以来、クラウドに保存されたドキュメントを共有することが増えた。共有の招待状を出すこともあれば、招待を受けることもある。今や、この手の通知は珍しくもない。
 だが、イヤな予感がした。
 メールが届いたGoogleアカウントは仕事で使っていない。だから、ここに招待状が届くのは妙な話である。
 メールのリンクは無視してGoogleドライブに直接アクセスしてみた。すると記憶にないパワポファイルが共有扱いになっていた。ダウンロードせずにプレビューで見るとスライドには大きく「サーバへアクセスしてください」的な英語が下線付きの青字で書かれていた。これ、絶対にクリックしちゃいけないリンクだ。よく見ると数百人が共同編集者登録されていた。
 間違いない、このパワポは新手のフィッシングだ。勝手に共有してくるというリモートワーク時代の新しい手口である。