カレンダー

2018/07
    
       

広告

Twitter

記事検索

ランダムボタン

旗を追って

by 唐草 [2020/09/04]



 ぼくはオープンワールドのゲームが大好きだ。プレイスタイルは、好きな食べ物を最後に残しておく子供のよう。シナリオが一気に動くメインクエストを最後に残して、せっせとサブクエストに勤しむ。サブクエストが終わっても、まだメインクエストには手を付けない。まずはマップのロケーションを埋めていく。そして、新たに見つけたロケーションでさらなるサブクエストを受注する。こうして、どんどんメインから離れていくのがぼくの常。メインクエストに手を付けるのは、ちょっと満腹感を感じ始めてからになる。
 あたかもつまみ食いしながら料理をするように好き勝手に動けることこそオープンワールドの魅力だ。NPCの命令に従ってお行儀よく順番通りにメインクエストを進めていくだけでは、一本道のゲームで遊んでいるのと変わりない。
 自由を楽しんでいるとは言え、広大なマップの中からノーヒントでロケーションを見つけるのは難しい。ついつい「こっちになんかあるよ」と知らせてくれるマーカーに頼ってしまう。
 何も知らない人がぼくの振る舞いを見ていたら、画面に表示された小さな旗を追っているだけにしか見えないだろう。果たしてぼくはゲーム内の自由を楽しんでいると言えるのだろうか?冒険というのは、先の見えない未知の世界に飛び込むことを指す。ただ旗を追うだけを冒険とは呼べない。
 とは言え、ぼくは旗を追いかけるのを大いに楽しんでいる。どんなところに旗が立っているのだろうというワクワク感だけで何時間もゲームに向かっていられる。新しい旗が同時に複数出現してしまったときには、どちらを追うか迷って嬉しい悲鳴を上げてさえいる。
 もし、一切ロケーションヒントの旗が出ないオープンワールドゲームが有ったとしたら、ぼくはそれを楽しめるとは思えない。きっと「これから何かを見つけるぞ」という期待感よりも「こっちに進んでも何もないかもしれない」という不安感が上回ってしまうに違いない。ゲーム内でも小心者なのだ。
 このことからぼくはオープンワールドに冒険を求めている訳ではないと言える。ぼくが求めているのは仮想世界の観光なのだ。