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緊張のリブート

by 唐草 [2018/07/24]



 久々に手の震えるような出来事が発生した。無事を確認した今でも体の芯が震えているような不安感がべったりとこびり付いている。夏は恐怖で涼めなんて言うが、実害のある恐怖はまっぴらゴメンである。
 何が起きたのか?事実としては単純な事である。自宅にある仕事用Macがスリープから復帰しなくなってしまったのだ。
 数時間前まで普通に仕事をしていた。そして、いつものようにスリープに入れた。ここまでは完全にいつも通りだった。でも、先ほど仕事をしようとキーボードを叩いてもウンともスンとも言わなかった。スリープを告げるパワーランプの明滅は止まったのだが、映像信号も出なければファンも回らなかった。
 ここで最悪の事態が頭を過ぎる。
 ついに壊れたか!?購入して既に8年ぐらい経過しているぼくのMac pro。電源に不安を抱えていることは前にも述べた。どうも電圧が安定しないようだ。電源オフからだと立ち上がらないことが多い。まるで真空管の機械のように不機嫌で不安定な状態が続いていた。
 だから、昨年の8月から1度も電源を落としていなかった。ずっとスリープのみで運用を続けてきた。けれども、ついに電源が壊れてしまったのだろうか?
 いつ壊れてもいいようにすべてのデータはバックアップしてある。仮に何か深刻な問題が起こっても途方に暮れることはないはずである。
 そうだと分かっていても、メインマシンが壊れるというのは痛手である。
 本当に壊れてしまったら、山ほどやることがある。新たなMacの購入、データの移行、環境の整備、ライセンスの解除や登録など考えるだけでもうんざりするような余計な仕事が山ほど発生する。
 それ以上に愛用の機械が壊れてしまうと言うのが悲しい。これは必要以上に機械に入れ込んでしまうぼくの性なのである。
 何をしても目覚めないMac pro。意を決して電源ボタン長押しで強制的に電源を落とした。これが命取りなような気がしていたので、電源ボタンを押す指は震えていた。
 絶望的な気分で再度電源ボタンを押すが、予想通り何の反応もない。今までのように一瞬だけ通電する気配すら見せない。やはり、寿命を迎えてしまったのだろうか?
 最後の手段として、半ばおまじないのような気分ですべてのケーブルを差し直した。接触の確認と余計な電気の放電を兼ねていると信じているが、実際のところ効果があるとも思っていない。ある種のお祈りのようなものである。
 これが最後になると思いながら、電源ボタンをもう一度押した。するとファンが回り出した。一応ハードウェア的には起動を始めたようだ。でも、安心するのはまだ早い。供給電圧が不安定なら途中で止まる。起動を待つ間、本体から取り出したハードディスクを別のMacで読み込む方法やニコイチで電源を確保する方法などを考えていた。
 1年ぶりの再起動は、恐ろしく長く感じられた。
 最悪の事態を想定しているぼくの前に現れたのは、先ほどスリープした時と何も変わらないいつものデスクトップ。一応、無事に起動したようだ。
 どうやら最悪の事態は回避できたようだ。でも、それはあくまで「今回は」というだけのこと。次はないだろう。