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称号がほしい

by 唐草 [2019/03/13]



 最近のゲームは、実績や称号という形で目に見えない「やりこみ度」を目に見える形にしてくれる。本来実績などは、熱心に遊んでくれたプレーヤーを褒めたり労ったりするためのシステムだったのだろう。でも、いつの日からその関係性が逆転してしまっているような気がする。ゲームメーカー側が、妙な遊び方をさせるための実績を用意することもある。また、称号欲しさに本筋から逸れた遊び方をするプレーヤーも現れている。
 ぼくも勲章や実績欲しさに、血眼になってアイテムを求めフィールドを走り回ったこともあれば、流れ作業をこなすロボットのような動きで心を無にしてザコ敵を4桁単位で撃破した経験もある。
 そして今、ある称号を目指して妙な努力を始めている。
 ぼくが狙っている某ゲームの称号は、「称号を一定数獲得した」ことを称える称号。具体的な数を書くとゲームが特定されてしまうので正確な数は伏せておくが、1,000個以上だ。なんでその称号を狙っているのかというと、称号ゲットの報酬が激レアアイテムだからである。他の方法で同じものを得ようとしたら、卓越したプレーヤースキルと輝かしい装備品、自分と同程度のスキルと装備を持った背中を預けられる仲間、社会生活に支障が出るほどのプレー時間、そして宝くじに当選するほどの運の良さが必要になる。残念ながらぼくは、そのいずれも持っていない。
 称号報酬がぼくに残された唯一の方法なのである。
 目標の称号数まであと20個ほど。これまでに約980個もの報酬をゲットしたことを考えれば、あと一歩で簡単に手が届くように見えるかもしれない。でも、最後の一歩は恐ろしく険しいものなのだ。
 ぼくがこれまでに取ってきた称号は、レベルアップ称号とかストーリークリア報酬のようなゲームで遊んでいれば誰でも簡単に取れる報酬ばかり。未取得のリストを見てみると、取得条件がぼくの腕では到達できないほど難しいものと、取得することにゲーム的な意味もないものばかり。
 残りのリストの中から簡単そうなものをいくつかピックアップして称号の数を稼ぐことをにした。
 まずは「いいね」をもらった回数300回の称号。普通にプレーしていても「いいね」を送られる機会なんてまるでない。しかし、ゲーム内には「いいね返し」という日本的なローカルルールがある。そのルールを逆手に取って、ゲーム内ですれ違った数十人に無差別的ないいね爆撃を敢行した。7割ぐらいの返答率なので、順調にいいね数を稼げている。称号も近い。
 次に気になっているのはチャット発言数称号。簡単そうだが発言回数が10,000回とべらぼうに多い。まっとうな会話でこの数を目指すのは大変だし、何より相手がいない。仕方がないからロビーの端で孤独に「あ」とつぶやき続けて数を稼ぐしか無い。
 今のぼくは「いいね」の絨毯爆撃をしながら「あ」とつぶやくだけ。どう見てもボットアカウントです。