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オンラインデビュー

by 唐草 [2021/04/16]



 ぼくは慎重なタイプに見られることがあるが、それは大きな間違い。臆病さと怠惰さの塊なので単に行動していないだけ。判断して止まれるのと、初めから動かないのはぜんぜん違う。ブレーキを踏めば止まる車とエンジンの動いていない車を比べているようなもの。ぼくが動くと本来のそそっかしさが、小さな事故を巻き起こす。実はドタバタコメディ向けの性格なのだ。
 幸いなことに自分の性格を理解しているので、大きな事故には至っていない。もっとアクティブな性格だったら、良くて天然呼ばわり、悪ければ単純な詐欺に引っかかっているだろう。引きこもり志向が、唯一プラスに働いている部分とも言える。
 こんな性格で生きてきて学んだことがある。それは「自分のミスを無くすことはできないが、ミスの発生源から身を置くことでリスクを回避できる」という教訓。こういう抽象的な書き方だとどうにも分かりにくいので実例を紹介しよう。
 ぼくはオンラインバンキングサービスを利用していない。これはフィッシング詐欺から身を守るための作戦。オンラインバンキング口座がないので、自分の手元に届く銀行関連のメールや案内がすべて偽物だと分かる。それも判断することなく、一瞬で100%偽物だと言い切れる。同様にクレカの明細も郵送にしている。利用しないことで安全を担保している。
 もちろん不便な面もあるのは否めないが、100%の安心感の代償だと思えばお安いもの。このままずっとこうしていようと思っていた。
 だが、時代の変化がぼくの消極的な防御方法を許してくれなかった。
 エコの名のもとに通帳にもカード明細にもお金がかかるようになってしまった。月々100円ぐらいの計算になるのだが、ケチなぼくはこれが我慢できなかった。
 ケチさは、臆病と怠惰を一瞬で蹴散らした。ぼくの原動力はケチさにあるようだ。
 こうしてぼくは、今日から不本意なオンラインバンキングデビューを果たした。それは、フィッシング被害へのカウントダウンでもある。