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ゴリラと目が合う

by 唐草 [2021/02/02]



 ぼくは趣味を仕事にしてきた。好きなことを仕事にするのは、良いことだという意見もあるし、逆に悪いことだという意見もある。どちらの考えが正しいのか白黒つけるのは難しい。趣味の種類や個人の資質によって評価が大きく揺らいでしまうからだ。
 ぼくの趣味はゲームとコンピュータがあればこと足りる。なので他人のお金で最新ゲームをプレーしたり、自分じゃ絶対に買えないような高額のコンピュータに触れられることには満足している。でなければ、こんなに長く今のスタイルを続けることはできなかっただろう。趣味を仕事にしてよかったと思っている。
 とは言え、自分のしていることが仕事なのか趣味なのか分からなくなる時もある。昨日からそんな状態に陥っている。
 コンピュータの世界は日進月歩。瞬きしている間にトレンドがどんどん変わっていく。これまでに身につけた技術の多くが容赦なく陳腐化していく。基礎として共通する部分はあるとは言え、日々勉強が欠かせない。
 ぼくの経歴を紐解いてもコンピュータをきちんと学んだことはない。ネットワークの基礎をその道のエキスパートに叩き込まれたぐらいだ。それだって先生が有名なだけで基礎的な座学の範疇に過ぎない。
 当然のことながらネットワーク入門程度の知識で今の仕事をこなすのは不可能だ。今のぼくを支えている多くの要素は独学で身につけてきたものだ。
 体系だった勉強を受けていないのでぼくの勉強方法は、泥臭く効率が悪い。何度もさまざまなコンピュータを設定して、いくつものソフトをインストールしてきた経験の蓄積だ。それは小学生が漢字ドリルを使って何度も同じ字を練習するようなものだ。エレガントさもなければ、インテリジェントさもない。膨大な失敗の繰り返しだ。
 そんな地道な反復に耐えられたのは、ひとえにそれが趣味だったからだろう。その泥臭さがぼくにとっては楽しい。
 今日も新しいOSの不導入手順とリソース消費の確認を行っていた。こう書くとすごいことをしてそうだが、実際は普通にインストールをしてタスクマネージャを見ているだけ。
 それがなぜ楽しいのかは自分でもよく分からない。今、ハッキリしているのはデスクトップ背景のゴリラがこっちを凝視しているようで妙な気分なことだけ。