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ワイルドカードの罠

by 唐草 [2020/12/02]



 *(アスタリスク)は、コンピュータの世界でワイルドカードとも呼ばれている。トランプのジョーカーのようにすべての代役を果たせる存在だ。
 例えばテキストファイルだけを検索したければ「*.txt」と検索すればいい。「報告書*.docx」と検索すれば、「報告書」という文字で始まるWordファイルだけを抽出できる。*を使いこなすことは、コンピュータをコンピュータらしく使う第一歩と言えよう。
 ぼくも初めて*の使い方を知ったときは、ハッカーの仲間入りを果たしたような気分になったものだ。その思い上がりは数年後に正規表現を知ったときにボロボロに打ち砕かれることになる。初めて正規表現を使いこなす人の姿を見たときの衝撃は今でも忘れられない。数千行のデータが含まれる数十個のファイルをたった1行の命令で意のままに操る姿は、魔法に近い存在にさえ見えた。
 正規表現のようなパワフルな検索方法もあるが、それでも使い勝手の簡単さを考えると*に軍配があがる機会も多い。普段のぼくらの頭の使い方なら*で十分。だから、複数をまとめてマッチさせたいときは、脊髄反射のように*を使ってしまう。
 そのせいで、今日は痛い目にあってしまった。
 今、インターネットではサイトの正当性を証明するためにドメイン証明書(SSL証明書)が欠かせない。このサイトも取得しているのでwww.krakusa-lab.comというドメインへアクセスができる。
 ドメイン証明書はサブドメインごとに取得するのが基本。www.karakusa-lab.comとmail.karakusa-lab.comのようにサブドメイン(URLの先頭)が異なったら別物になる。そのせいで、サブドメインが増えると管理が面倒になる。そこで活躍するのが、1つですべてのサブドメインに対応できるワイルドカード証明書だ。*.karakusa-lab.comで取得してしまえば、どんなサブドメインが来ても大丈夫。とても便利な証明書だ。
 ※ただし、サブドメインの階層が異なる場合は*でカバーされない。
 この注釈を見逃していたので、せっかく取得したワイルドカード証明書がタダのゴミになってしまった。*って何でもカバーしてくれるんじゃなかったの?※を見落とし*に振り回された徒労の1日だった。