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落ち葉の上で

by 唐草 [2020/11/30]



 9月以降、毎週月曜日の散歩が週課になっている。いつもの公園まで往復で小一時間かけて歩く。元気よく腕を振りながらハイペースで歩くので、歩数は6,000から8,000の間ぐらいを記録する。
 散歩の目的はいくつかある。在宅勤務になって通勤から開放された代償は運動不足。それを取り戻すために歩く。また、机に向かっているだけだと息が詰まってしまうので気分転換も兼ねている。でも、これらの理由はぼくの散歩にとっては、真の目的のおまけのようなもの。
 散歩に出る一番の理由は「早く寝たいから」という一言に尽きる。火曜日は午前7時前に家を出ることになるので早起きが欠かせない。睡眠不足では何もできなくなってしまうので、睡眠時間を稼ぐために早くに寝る必要がある。とは言え、普段から夜ふかししまくりのぼくにとって自分の生活リズムから逸脱した早寝は簡単にできることではない。だから、早寝するためにハイペースな散歩であえて肉体的な披露を溜めているのだ。
 ガシガシと大股で歩きまわれば、普段は午前1時を回ってから眠っているぼくだって23時ぐらいに眠くなる。散歩のおかげで毎週快適な睡眠にありつけている。
 ぼくの散歩は、毎週ほぼ同じルートで近所の公園を往復している。1週間おきというペースが実に良い塩梅。毎日歩いていたら季節の変化が小さすぎて気が付かないだろう。1ヶ月に1度では変化が大きすぎて身の回りの自然の変化に気が付かないだろう。でも、1週間おきなら植物の葉の茂り方や空の色の変化をひしひしと感じられる。
 今日も11月の末らしいことをして冬の訪れを感じてきた。この季節に一番楽しいのは、なんといっても積もり積もった落ち葉の上を歩くことである。何層にも厚く積もった落ち葉は、上を歩くとカサカサと乾いた硬そうな音を立てる。そんな硬い音とは裏腹に歩いてみるとフワッフワなのだ。絨毯や毛布のような均一な柔らかさとはぜんぜん違う。不規則に積もった落ち葉が、一歩一歩を気まぐれに支えてくれるような驚きに満ちた柔らかさ。
 一度この気持ちよさを知ってしまうと、舗装されたアスファルトの上を歩くのがバカみたいに思えてくる。なんでみんな道から外れて歩かないんだろう?誰も歩いていないところが、ぼくの進む道。