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顎関節症

by 唐草 [2020/11/14]



 顎が痛い。まるで左顎がズレてしまったかのよう。何もしていなくても痛いし、口を開けても閉じても痛い。痛いところを指で押しても痛い。数年ぶりに顎関節症が発症してしまった。
 痛い痛いと連呼しているが、以前に患ったときよりはだいぶマシ。だってまだ口を開けられるんだもの。一番ひどかったときは、ほとんど口を開けられなかった。おやつのメロンパンにかぶりつくことができなかったショックは、未だに鮮明に記憶している。
 今回は顎を痛めてしまった原因に心当たりがある。突発的な不調ではなく、肩こりや筋肉痛と同じ類の問題だと考えている。
 原因は、オンライン授業のせい。
 と言っても、授業中に顎を強打したというような単純な話ではない。ぼくの課題に対する心構えが歪んでいたせいだ。
 ぼくの担当科目はプレゼンのしかたを学ぶ科目。半期の間に2度の発表課題がある。従来は授業中にグループ発表をさせていた。でも、オンライン授業だとグループ発表は難しい。できなくはないのだが、グダグダになることが容易に想像できる。そのグダグダを仕切る意欲も自信もなかったぼくは、楽な道に逃げた。
 ライブでの発表を中止して、発表を録画する課題に切り替えた。
 授業中に集中力を研ぎ澄ませて発表を聞くよりずっと楽だろうと考えていた。でも、その考えは間違っていた。
 ぼくの手元には8分の動画が12本も並んでしまった。何も考えずに見ても1時間半の大ボリューム。1時間半なんて面白い映画やドラマならあっという間に感じるかもしれないが、学生の発表動画なんて見ていてワクワクする訳がない。ハラハラするのは、内容がボロボロだったときだけだろう。
 ぼくの役目はただ動画を見るだけでなく、発表内容と発表方法を採点・指導すること。動画を見ながらそれぞれにコメントを書く必要がある。だから、1本対応するのに30分以上要してしまった。
 合計12本を見終えるのに最終的に7時間以上かかってしまった。退屈なこの仕事の間、ずっと頬杖をついていた。7時間以上もそんな姿勢を続けていれば、顎がおかしくなるのも無理はない。
 真摯な態度で採点していれば、こんなことにはならなかったのにね。身から出た錆である。