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酸っぱさの種類

by 唐草 [2020/10/05]



 ぼくは酸味に強い。唐揚げなんかに添えられたカットレモンをオレンジのようにパクパク食べられる。別に宴会での席での受けを狙って体を張っているわけではない。もし、そうだとしたらぼくがレモンを食べた後のリアクションが地味すぎる。こたつでみかんを食べているような表情では、場は白けるばかり。
 周囲からはゲテモノ食いと思われているかも知れないが、人の好みは十人十色。辛いのが好きな人がいれば、甘いのが好きな人もいる。それと同じようにぼくは本当にレモンが好きで美味しいと思っている。ぼくの中でレモンは、料理の薬味的なポジションではなくデザートに食べたいフルーツに分類されている。
 レモン以外にも酸っぱい食材も料理もたくさんある。お酢も割と平気なので酢の物も美味しく食べられる。日本の酸っぱさ以外もいけるので、トムヤムクンとかの刺激の強いエスニック料理も好物。ぼくからするとむしろ「酸っぱいから酢豚すら苦手」という人のほうが異端に見える。酢豚がダメなのは、流石に酸味に弱すぎると思う。
 酸味に強いというより、味に鈍感で酸味に気づけていない説も囁かれているぼくの舌。味覚は定量化しにくい感覚なので真相は闇の中だが、断じてバカ舌ではないと主張したい。その論拠として、すべての酸味に強いわけではないということを挙げよう。
 柑橘系、ハーブ類、酢の酸味に強いのは事実だが、苦手としている酸味もある。苦手な酸味の筆頭がアンズである。
 pHのような指数でアンズを測定してもレモンより酸性は弱いかも知れない。でも、ぼくの舌の上では科学的組成はさして重要ではない。アンズ味としての酸味が苦手なのだ。似た味のプルーンも余り得意ではないが、こちらはどうにか食べられる。
 先日、アンズのジャムを頂いた。イヤな予感はしたものの、ジャムだし半分ぐらいは砂糖だから平気だろうとたかをくくっていた。
 あんずジャムをパンに塗ってひとくち食べただけで、結論が出た。
 ジャムになってもダメだ。この酸味だけは耐えられない。アンズはぼくの敵。