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徳を積む?

by 唐草 [2020/09/14]



 外から聞こえてくる虫の声もセミからコオロギへとバトンタッチ。秋の気配を感じているのは虫たちも同じ。今となっては、22時を過ぎても30℃を下回らず蝉しぐれが響いていた8月中旬の狂った夏の夜が懐かしくもある。
 耳に届く虫の音だけでなく、目にする虫も変わってきた。道端に無造作に転がったセミの最期を見ることはもうない。暑さに負けて力なく飛ぶアゲハチョウも姿を消した。その代わりなのかは分からないが、屋内で小さな黒っぽいクモを見かけることが増えている。
 カブトムシやカナブンのような甲虫は、大きくても小さくても一様にコロンとしていてかわいい。クモは、8本足だし、目もたくさんあるしとなかなかエキセントリックな姿をしている。もし身近なクモがもっと大きかったら、例えば手のひら大のタランチュラのようだったら悲鳴をあげて逃げ回るぐらいイヤだ。大きかったら益虫だとしてもかなり忌み嫌われる生き物として扱われていたに違いない。
 幸いなことにぼくの身の回りのクモは1cmに満たないミニマムサイズがほとんど。このサイズではディティールが分からないので気持ち悪くない。それどころか小さいことに可愛さすら感じてしまう。
 住人であるぼくが小さなクモに対して好意的だとしても、我が家はクモにとって危険なキルゾーン。クモの命を奪うのは、鋭い牙と爪を持つ猫どもだ。
 猫にとって虫は、おもちゃである。逃げ回るさまが狩猟本能を刺激してしまう。狩ったところで食べるわけでもないのに執拗に追い回し命を奪う。中でもクモ(昆虫じゃないけど)は猫の好奇心を大いに刺激する。ワープするような鋭いジャンプと壁を伝って立体的に動く様がたまらないらしい。クモ自身の運動性能の良さが仇になっている。
 益虫であるクモがむざむざと殺されるのを見ているのは、猫好きとしても楽しいものではない。だから、猫より先にクモを見つけられたら素早く捕獲して外へと逃がすことにしている。クモは素早いが、前から大きな物が来ると後ろへ飛ぶという本能を利用すると簡単に捕まえられる。
 今日はすでに2匹救出した。きっと徳を積んでいるだろう。とは言え、クモの恩返しは願い下げだ。