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おやすみ

by 唐草 [2020/08/27]



 眠ってしまえば震度3ぐらいでは目覚めないぼくだけれども、ベッドで横になってから眠りに落ちるまでは周囲の些細な音に意識を奪われがちだ。目を閉じているせいで音への意識が高まってしまうのだろうか?
 猫が肉球でヒタヒタと歩き回る音さえも気になってしまう。外から飛び込んでくる低く揺れをともなう走行音に巨大なトラックの姿を浮かべることもある。
 とは言え、健康に支障が出るほど寝付きが悪くはない。それにすべての音が気になってしまうという訳でもない。エアコンの音は慣れているので耳に入っても意識することはない。ぼくの眠りへの道を妨げるのは、あくまでも急に鳴る音である。
 眠りを妨げる音の筆頭は、なんと言ってもスマホの通知音だ。これに比べれば肉球の音なんて無音と同じである。トラックの走行音でさえ子守唄と呼べるだろう。
 通知音はどこでも気がつけるように耳に飛び込みやすい音として作られている。そんな音が静かな枕元で鳴ったら耳を突き刺すようなものだ。まどろみ始めた意識は、あっという間に元に戻ってしまう。
 通知音が厄介なのは音の鋭さだけではない。メッセージが届いたということを意識せざるをえないことも音と同じぐらい厄介だ。仕事の連絡しか届かないぼくにとって通知音は、すべて始業のベルのようなものだ。朝になるまで無視しても構わないのだが、なにか面倒な依頼が飛んできているんだろうなと思うと気になって眠れなくなる。だから仕事中毒のようにメッセージを確認していしまう。そして、面倒な事態を直視するハメになるのだ。
 朝になったら取り組もうと思って一度はスマホを置くのだが、頭の中では作業の段取りを考え出してしまう。あれこれ考えている内にどんどん目が冴えてくる。その結果、在宅勤務の唯一の欠点に至ってしまう。
 ベッドに入って仕事のことを考えて悶々と寝られぬ夜を過ごすよりも、さっさと片付けた方が楽になるという呪縛である。
 もぞもぞの体を起こし、眠りに落ちるほどはないけれどテキパキ働くには重すぎるまぶたをこすってPCに向かうのである。
 ここのところ、こんなことが続きまくっていたので流石にイライラしてきた。今朝は午前4時に仕事を片付けた後、スマホのおやすみモードを有効にした。もう、何人たりとぼくの眠りを邪魔させない。