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高物買いの銭失い

by 唐草 [2020/08/16]



 「安物買いの銭失い」という諺がある。ケチって安物を買うと結果的に損をするという人生訓だ。心当たりのある方も多いだろう。ぼくも経験則からこの諺は概ね正しいと思っている。
 とは言え、最近では100均の品でも質の高いものが多い。安いものはすべて粗悪品というステレオタイプは過去のものになっている。それでも注意が必要なものもある。特に工具や調理器具などの何かを作るための道具を買うときは、素直にこの諺に従うべきだろう。100均のドライバーを買ったらすぐに先端が欠けたし、格安テフロンフライパンを買ったらすぐに表面が剥がれてしまった。
 「安物買いの銭失い」は「安物に手を出すのをやめておけ」と忠告してくれて入るが、どれぐらいのものを買うべきかの助言はしてくれていない。考えようによっては、どんなものに対しても「〇〇はやめておけ」と否定から入る面倒くさいオッサンのようでもある。
 古からの教訓が詰まった諺に従って安物を避けて高級品を買えばよいかと言うと、それが正解とも言えないだろう。
 工具や調理器具を買うにしても、ぼくのような素人がプロ仕様のものを買う必要はない。高精度チタンドライバーで締めなくてはいけないネジもないし、アフターケアの必要な鉄製フライパンなんて使いこなせずに駄目にしてしまうだろう。こんな具合にせっかく高いものを買ったのに持て余しているものは無いだろうか?そういうものは「宝の持ち腐れ」と呼ぶのが相応しいのだろう。
 それでも高い価格に見合った質があればまだいい。残念ながら世の中には価格が高くても安物と大差ない品がある。
 ぼくが大好きなキーボードの世界もかなりグレーな世界だ。打鍵感という感覚に価値があるという価値観を業界内に蔓延させて高い製品の正当性をうそぶいているようにも思える。それでも1,000円の激安キーボードと12,000円の高級品にはそれなりの違いを見出すことができる。
 キーボードより胡散臭いのがケーブルの世界だ。USBケーブルの良し悪しなんて中の銅線ではなく、ケーブル被膜の丈夫さで決まっているようなものだ。抜き差ししないなら安物で十分である。
 気がついているのは氷山の一角だろう。満足感というあやふやな感覚に付け込まれてしらずしらずの内に無意味な出費、いうなれば「高物買いの銭失い」をしているのかもしれない。