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Zenの先へ

by 唐草 [2020/06/29]



 2週間ぶりに出勤した。ここ数ヶ月、出勤というと不調なPCを再起動しに行くばかりだった。PCとネットの発展がもたらしてくれたリモートワークであるが、最大の弱点がPCにあるというのは当然とも皮肉とも思える不思議なめぐり合わせだ。
 再起動に向かうぼくの表情は、毎回イライラで曇っていただろう。数秒間ボタンを長押しするためだけに片道1時間を費やすのは時間の浪費以外の何物でもないからだ。
 今日のぼくの表情は、一転して明るく輝いていただろう。もしかしたら誕生日プレゼントを期待する子供のように柔和で幸せそうにすら見えたかもしれない。だって、ぼくの気分がまさにそんな感じだったからだ。
 今日、職場でぼくを待っていたのはモンスターと呼ぶに相応しいハイスペックなコンピュータだった。興味のない人からすれば、薄べったい金属の板にしか見えないだろう。だが、PCオタクだったら無骨なエンタープライズ使用のラック筐体にワクワクしてしまうだろう。だが、ぼくの顔に笑みをもたらしたのはコンピュータの見た目ではない。無骨でつまらない筐体の中に押し込められた驚異の性能に胸を高鳴らせていたのだ。
 今、CPUはマルチコア化が進んでいる。ひとつの小さな基板で構成されたように見えるCPUの中に複数のCPUが内蔵されている。10年ぐらい前までCPU性能は処理の速さを示すHzで表されていた。処理速度が頭打ちになって以来、内蔵されたCPUの数を表すコア数が性能の指標になってきた。ひとりの仕事の速さ比べに意味がなくなり、何人で仕事に取り組めるかを競うようになった感じだ。個人競技からチーム競技へ変わったとも言えるだろう。
 今、巷で買える高性能なCPUには10個以上のコアが付いている。16コアのRyzen 9なんかはマニア垂涎の品だ。ムダに高いこと、そこまでの性能が個人には必要ないことを考えるとスポーツカーのような存在である。ロマンや憧れの塊と言えるのかもしれない。
 ただ、今日ぼくを待っていたコンピュータに積まれていたのは、そんな生ぬるい品ではない。32コア搭載のヤバイやつだった。ここまで来ると気分はフェラーリとかランボルギーニとかのスーパーカーを眺めているのに近い。目の前にあるのは無骨なラック筐体なのに、ぼくの目には輝いて見えたのだから。