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押してダメなら押してみろ

by 唐草 [2020/06/26]



 写真に写された程度では、ぼくの歯並びに問題があることはバレないだろう。だが、バナナとか羊羹のように歯型がくっきりと残る食べ物に齧り付くと否応なしに現実を直視させられる。下の前歯の歯型が不自然に内向きのハの字になっている。
 下顎の歯並びが悪いのは母方の家系の遺伝らしい。祖父の前歯の片方はほぼ横を向いているらしい。母も同じ前歯向きが悪くて歯の手入れに苦戦していると言っている。まったく嬉しくない遺伝だが、3代経ってだいぶ増しになったとも言える。
 妙な角度で歯が生えているとどうしても歯石が溜まりやすくなる。電動歯ブラシを利用するようになってからは、歯科でおだててもらえるぐらいに歯を磨けるようになった。それでも下の前歯の裏側だけは別。まるでそこだけ磨いていないかのようにいつも問題を抱えている。
 実際、磨けていないという表現は正しい。不自然な角度で並ぶ歯は、歯ブラシの毛先の侵入をことごとくガードしているようだ。どうしてあの微細な毛先が入らないのかが不思議で仕方がないのだけれども、いくら頑張って磨いても歯石が溜まってしまう。
 歯間ブラシを使ってもうまく取れない。ぼくの前歯を綺麗にできるのは歯科のドリルだけなのではないだろうか?
 少し弱気になりながらも、歯をきれいにする方法を模索していた。ネットによると神経質になっていじりすぎると歯茎を傷めることもあると書かれている。だが、そこに汚れがあることを知りながら放置するのは、だいぶ気持ち悪い。
 試行錯誤の果に1つの仮説にたどり着いた。いくら磨いても歯石が取れないのは「磨くことによって歯の隙間に歯石を押し込んでしまっているからではないか?」という説だ。この仮説が正しければ、神経質になったぼくの行動が状況を悪化させていたことになる。
 では、歯を磨くのを止めるべきか?それは本末転倒のとんでもない話だ。
 ぼくが仮説を検証するために試したことはとても単純だ。今まで裏側の汚れを取ろうと裏からのアプローチを重ねてきた。今度は逆に表から汚れを押し出してみることにしたのだ。押してダメなら引いてみろに近い考えである。
 この考えは大正解だった。裏をきれいにしたければ、十二分に表を磨く。押してダメなら、逆からもっと押せ。これが成功の鍵だった。